ウーニーを船の下敷きにさせないため、トウジーの怒号が飛ぶ。 (写真は大野隆志氏提供)
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結婚をさせ、子供でも出来れば、元の明るい子に戻るだろうと、石垣島の知人に、相手を紹介して欲しいと依頼した。 十歳も年上の健一という男と見合いをしたが、抜け殻のようになった明子は、親の言うまま結婚。 健一の仕事は、船の荷役という日雇い労働者だ。 当時は重機がなく、男どもが、蟻の如く沖縄本島行きの船へ荷物を乗せ降ろしをしていたのである。 明子との間には、子供が出来なかった。 それもあったのか、荷役の仕事は、船の出港が午前中の為、朝早く仕事に出かけ正午頃には自宅へ帰るが、酒びたりとなった。 この島にはパチンコなどなく、暇を持て余してどうしても酒に手が出るのである。 酒に酔うと口の暴力、物を投げ、手まで出す始末。 健一の妹がやはり子供も出来ず、出戻って来、姑のいびり。 挙げ句の果ては、健一が外に良枝という女に、子供まで生ませてしまった。 良枝は石垣島生まれで、健一の家族も顔見知り、何のおく面も無く、しゃーしゃーと子供連れで出入りするようになってきた。 明子は、女中以下の扱いだ。 健一は、酒を飲み過ぎたのか、肝臓を患い、六十歳で他界してしまった。 健一の両親は、他所の女に生ませた孫を可愛がり、その女は堂々と出入りする。 姑にはいびられる。 収入がないので、近所の空き瓶を拾い、それで生活するような、乞食同然の生活となった。 リアカーも買えない、天秤棒の前と後ろに、カシガー袋(土嚢袋)で空き瓶を拾い回り、天秤棒担ぎをしている姿を島の人に見られてしまった。 島の親父は、強引に乗り込み島へ連れ戻した。明子五十五歳の時である。 不幸はどこまで追いすがるのか、母は病に倒れ、一年目で他界、父は後を追うようにまた一年後に、他界してしまった。 古い家もまた、台風で吹き飛んでしまったのである。本当の家なし乞食となってしまったのである。 建て直す金などあるはずがない。近所の人が、廃材となったトタンを集め、やっと一人が生活出来る、掘っ立て小屋を建ててくれた。 電気代を払う金もなく、ランプ生活。プロパンガスとて無理、土間で薪拾いをし、煮炊きする生活だ。 あまりにも惨めな乞食同然の身となってしまった。
島のじいさんと飲んでいたら、今の女のオッパイは、成っていない、あの格好は何んだ、と怒っている。 猥談でも始まるのかと思うと、真面目な話のようだ。 昔の女は、オッパイを長く長く伸ばす訓練をしていたんだぞ。 子供を背負い、オッパイを欲しがったら肩へちょこんと乗っけ、子供にオッパイを飲ます。 その間、手仕事が出来る。いちいち抱いていたら、乳を飲ませる時間が無駄になる、乳の垂れ具合で、働き者のいい嫁か、決まったと言う。 おかしな話もあるもんだと、聞いていると、隣に60代のおばちゃんがいて、この話は本当かも知れない。 亡くなった母は、本当にオッパイが垂れ下がって、肩にのっけられるくらいの長さだったという。 そう言われてみると、この話本当なのかなー? アフリカの原住民の女性のオッパイがかなり垂れ下がっているが、もしかして、この話のとおり延ばし延ばしたのかな。 ある日、90を過ぎたおばあちゃんに、どうしたらオッパイを長々と延ばせるのか、と聞いてみた。 そのばあちゃんは、にっこり笑って、「あんた! 私に惚れたね! 久しく絶えていたが、今夜はいいよ!」とにじり寄って来た。 おい!、ばあちゃん勘違いするなよ! 90を過ぎ、三途の川へ片足つっこんだ、ばあちゃんに乗ったら、オレはギネスブックに載るよ。 最中に、いく〜、いく〜、と逝かれたらブタバコ行きだ! くわばら・・くわばら・・ とりあえず、快楽どころか、葬式の事が頭をかすめ、逃げ帰って来た。
この島に、30年前に本土から移住してきた人がいる。 コンクリで立派な家を建て、そのかわり冬場しか島にはいない夏場は本土へ帰るのである。 その家が空き家にならないよう、管理の名目で夏場だけY氏が利用している。 当然30年来、島へ来ているから、年齢的にもも50半ばである。 そのY氏の生き方が変わっている。 冬場はどうするかというと、本土のスキー場でインストラクターをしているという。 冬場にインストラクターで稼いだカネで、夏場は、他人の家を自由に使って気ままに生きているのである。 背丈も高く、顔自体も、結構モテるタイプだ。 そして島の民宿とも顔見知りになり、夏場は水着姿の女の子たちをいろんなポイントへ案内したりして、自由に生活している。 自分の家も持たず、結婚もせず、しかも常に若い女達が回りにはべり、不自由しない、ちゃんと人生が成り立っているのである。 スポーツマンタイプで、女性がかなり群がってくるはずだのに、うまくかわす術もあるようだ。 お金が無くても、自由で気まま、しかも女に不自由しない生活を30年も続けられる、まか不思議である。 団塊世代の人達は、働かざる者、食うべからず、としゃにむに働いて家庭を維持してきたはずだ。 そういう人達から見ると、いかにもこんな人生があるのか、一年だけでも体験したい、と感心させられる珍人生物語である。 M君は、20年前、二十歳の時に、この島に遊びに来た。 ちょうどその頃、島の人が民宿をしていたが、閑古鳥が鳴き、つぶれかかった一軒の民宿を自分が借り切るような形で、経営を引き継いだ。 島の人が民宿をやると、どうしても昔からの島料理であったり、結構虫がいるが、それも全然気にしない。 よってなかなか繁盛しないのである。 M君はかれこれ15年間、コツコツとリピーター客を捕まえ、そして嫁さんも確保、子供もでき、いよいよ自分の民宿を建てる計画を実行した。 土地を確保し、整地していると、どうも古井戸らしいものが出てきた。 誰かが、埋めた跡が残っていた。 村の古老に話を聞くと、確かにここには依然、家があって、間違い無くそれは、古い井戸であるとの事だった。 その古老は、あなたは大変幸運な男だ、島では昔から、井戸を埋めると、子孫末代まで、いいことがないと、言われている。 その井戸を見つけたのだから、ちゃんと生きかえらせれば、君には幸運がもたらされるであろう、と言ったのである。 誰かが埋めた形跡があり、庭も狭くなるので、そのまま埋めてしまおうかと思ったが、古老の話が気にかかり、生きかえらせることにした。 雨水を溜めるための、丸いタンクの使い古しをその井戸にかぶせ、真ん中に穴を開け、鉄パイプで、空気が通るようにし、子供たちにも危険が、及ばないようにしたのである。 コンクリ二階建て、島1番の立派な民宿が出来上がり、営業を開始すると、古老に言われた通り、見事に繁盛したのである。 開業してから2年、今ではお客を断るのが、大変だという。 中には、日程をずらせても宿泊できない、どういうことだと詰め寄るお客もおり、うれしい悲鳴どころか、本当につらいですよと嘆いている。 観光客の中には、その古井戸を見、それは何ですかと尋ねる人もいるという。 これこれしかじか、と話をすると、この古井戸のおかげで、私たちはこんな立派な民宿に宿泊出来たんだと、手を合わせるお客さんもいるという。 M君は、村の古老の話を聞き捨てにせず、おかげで自分は、言われた通り、大変な幸運に恵まれたと、感謝をしているとのことだ。 古井戸や、お客呼び込む、福の神
この島では、気温が10度を切ると、近海の魚が凍死して浮き上がってくる。 一番寒さに弱い魚は、フクラビと呼ばれるカワハギである。 立派な皮を纏い、見た目は寒さに一番強そうな魚が、一番弱い。 カワハギ! お前は、イミテーションのミンクのコートを着ているのか。 ヤマトウ嫁が民宿をやると、大繁盛する。 料理や観光客の心を理解出来る為だろう、と古老が呟いた。 20年も前だが、20才前後の女が島へ来、島男とどうしても結婚がしたい、男を紹介して欲しいと頼み回ったそうだ。 十人並みの容姿で問題ないが、何かいわくがあるのか? 頭がおかしいのか、と誰も相手にしなかったそうだ。 最近、ヤマトウ嫁が活き活きと活躍する姿を見、あの娘は20年先の今を見通していたのでは、決して頭が可笑しかったのではない。 あの娘が民宿をやっていれば、今頃は島一番の民宿になっていただろう。 島として大きな損失だった、としみじみ呟いた。 ひかる! 今からでも遅くない。 島には40代、50代のチョンガーがいる、その娘を探して来い、と。 お〜い!! 心当たりの人、いるか? 足腰は弱っているが、最後の力を搾り、島ジーが一肌でも二肌でも脱ぐ、と言っているぞ! 今一度、島ジーの所へ行ってくれ!
この島の方言を聞いていると、訳の分からない事が沢山出てくる。 足の事をパンと呼び、ハブの事もパンという。 畑に使うクワの事をパーイと呼ぶ。 このパーイはペルーの山奥の原住民が使う言葉だと言われている。 インドネシアを旅行したおり、ところどころ車窓に、MAKANというローマ字の看板が出てきたのでガイドに聞いてみると、レストランの意味だという。 島の方言で、旨いは、まーはんと言うが、インドネシアのマカンと発音イントネーションがぴったりだったのには驚いた。 ちなみに島では、食器のちゃわんもマハンと言う。 また島の方言で、殆んど当てはまる事だか、複称、総称の場合、単称の単語に、ERをつければ事が済む。 その点は、どうも英語と同じだ。 例えば、バカな奴、阿保な奴を方言でいうと、プリムン、になる。 複称、あるいは総称して言うと、それはERを付けて、プラーにり、プリムン達という意味だ。 わんぱく小僧の事を、ヤマング、と言う。 複称、ないしは総称すると、ERをつけてヤマンガアー、になり、やマング達との意味だ。 太る、というのは、パンタル、と表現する。 太った人達、と総称すると、やはりERをつけて、パンタラーになる。 逃げるは、ピンギルだが、逃げ足の速い奴、ピンギヤーだ。 極めつけ方言は、働くだ。 働く事は、石器時代の昔からあっただろう。その言葉が、ものの見事、英語のワークと同じだ。 働く、それは、方言でも「ワーク」である。 屁理屈こく前に「働けば」の方言は 屁理屈こく前に「ワーキバ」になる。 日本南端の島は、ERだらけだ。 日本国内に、理解しがたい日本人がいた。 しかし、日本人のルーツかもしれない・・・ 島の爺ジーに、なんで働くが、ワークなんだと聞いたら、お前は、ヤマトウへ行って、屁理屈屋になった。 そんな事、ワシに聞いても分からない。昔からそうなっているのだから、しかたないさ! ごちゃごちゃ屁理屈ばかりこいてないで、「ワーキバ !」、(働けば !)、と怒られた。 まあ まあと言って、泡盛をつぐと、全て円満解決。 飛び交う方言を聞いていたら、いにしえの昔へタイムスリップ。 島の年寄りは、性根が正直で優しい。 私は島の年寄りが大好きだ。