2026年7月6日月曜日

122 傘をさすのは人間だけだ !

  筋肉が付き、ピコタンも徐々に目立たなくなり、勉強で他のいじめっ子を負かす事ができる、と悟った光男は、必ず一番になると猛勉強をするようになった。

周りの家では、石油を一升瓶で買うが、貧しく二合瓶でしか買えない。

小さなランプだが、父は光男に明け渡し、細かい仕事を明るい内に済ませ、暗闇でせっせと内職をする。

子供の時の境遇は大人になってから、大きな財産となる。

小中学を通し、どしゃ降りの雨に打たれたことは、いつの間にか苦痛ではなく、光男の中で修行僧が滝に打たれる如く、快感になって行ったのである。

ある日、営業で大きなイベント収録を受注、最終打ち合わせ確認時、途中よりどしゃ降りの雨となったが、例によって快感を感じ客先へ行った。

軒先で滴る雨を切り、客の前へ立つと相手がびっくり。

タクシーも有るだろうに、傘も買えるだろうに、と

ソファーに座ると濡れるので、立ったまま最終確認をし、またどしゃ降りの雨の中を平然と帰る。

イベントは晴天に恵まれ大成功。

その会社の社長が「光男と言う男、雨が降ろうが槍が降ろうが、しっかり仕事をやり遂げる、一番信用出来る」と尾ひれを付けて回ったのである。

もっと大きな財産は、周りが全員風邪を引いていても、部屋中菌が充満していても、

絶対と言っていいくらい、この男の体はまともじゃないのではと疑うほど、風邪を引かない丈夫な体になったのだ。

そして言う「地上にいる動物の中で、雨が降ったからとて傘をさすのは人間だけだ、雨なんぞ負けるな」と。

母との約束で学校へ行きはしたが、やはり借りてきた猫の如く、もの言わぬ人、方言でムヌザとあだ名され卒業。

高校へ進むにもまた、島からは同学年で光男一人。

地元の石垣中学から、なだれ込んだ連中が、徒党を組んでいるように見え、ここでもまたもの言わぬ人とあだ名され卒業。

上京後就職するにも、今度は異境のパスポート沖縄人として見られ、そのことが自分自身にも大きくのしかかり、言葉のなまりが気にかかり多くをしゃべらなかった。

同期の人は30歳前に管理職として登用されていきますが、やはり置いてけぼり。

やっと30歳で管理職の末席につくようになった頃、先輩管理職がごっそり飛び出していったのです。

その後、社の状況は日に日に悪化、ほとんど泥沼に片足を突っ込んだ状態となりました。

取り巻く状況が悪い時、ほとんどの人は身を守る方へと向かいますが、光男の場合、全く逆で一気に攻める事を考えたのです。

長い間もの言わぬ環境で育ち、何かに挑戦してみたい、他人に負けるはずがない、という情熱のエネルギーが、爆発寸前まで蓄えられていたのです。

貧乏のどん底を這いずり嘗め回す、しこたま言葉を無くす程いじめ抜かれる、人生の一番大事な結婚では、生い立ちを罵られ塩を撒かれる。

人間、生まれた所で価値が決まるわけではない!! と怒鳴りたいが耐え抜いてエネルギーを貯めるしかなかった。

そのエネルギーは、人間が豹変したのではないかと思われる勢いで、トップを説得しまくり承諾を得ると即行動。

まず100人を動かすには、行動を共にするブレーンが10人いれば、流れは変えられるだろうとブレーン作りを開始しました。

守りに回った人を攻めに転じさせることは容易ではありませんでしたが、熱意をもって説く姿にブレーンが増え、大きな展開ができるようになったのです。


121 ペルテス病

 振り返ると光男は小学校入学時、登校拒否児でした。

五歳の時、股関節変形のため片方の足が2センチほど短く、入学時、他の子が運動場一周するにも、半周しか出来ないピコタンピコタン歩く状態。

貧しくカッパが買えない大雨の日、母は蓑傘を着せ、登校させる。

途中、光男はあまりの格好悪さに気づき、帰ると脱ぎ捨て、ずぶ濡れで登校。

急に体を冷やしたせいか、下腹部に激痛を感じるが、我慢できずウンチを漏らしてしまう。ピコタン、ウンチ野郎、といじめられる。

女の子が木切れでつっついて逃げるを、ピコタンピコタン追いつかない。更に、他の村は、同級生が大勢いたのですが、光男の村はたった一人。

しこたまいじめ貫かれたのである。

登下校時、他の村の連中が徒党を組み、襲ってくるのではないかと恐怖を感じ、とうとう言葉を失う、しゃべらなくなったのです。

登校拒否に、母は光男を抱きしめ「光男が学校へ行かないんなら、お母さんは生きていけない」と大粒の涙をおとす。

当時母は貧しく栄養失調ぎみ、三人の子が次々と育たなく他界、光男がピコタンピコタンで学校へも行かない。

顔色から本気で死の道を考えていることが感じられる。

たった一人自分を守ってくれる母、母の心の内を感じた光男は、だまって小指を出した。

光男は、登校拒否はしないという母との約束を守り、どしゃ降りの雨でも、口を真一文字に噛み締め、ずぶ濡れで学校へ行くようになった。

いじめは続き、当然成績はほとんど零点だったが、通信簿は学校の配慮なのか、1ではなくオール2のアヒルの行進。

しかし四年生の終り頃、勉強もしなかったが、30点、40点が出るようになった。

この、ちょっとだけ成績が良くなったことを、先生が見逃さず、進歩賞なるものを直筆で作り、みんなの前で表彰し褒めてくれたのだ。

光男の学校恐怖症は、素晴らしい先生との出会いと粋な計らいによって自信を取り戻し、徐々に心を開いていったのです。

自信をつけた光男、運動では勝てないが勉強の成績で勝てる、と本気で勉強をするようになったのです。

登校拒否やいじめ問題は、このような思いやりのある先生に出会えれば、事なきを得ることでしょう。


120  放送、開局

 ブログによる放送は、そんなに難しいことではない。即、実現可能である。

例えば、野球放送を考えた場合、12球団、各球団のファンブロガーを6名集め、試合が行われると、その球場へ行き逐一1分単位でもいい。

ブログで結果を上書きして立ち上げる。

6試合であるから、六つのブログを一つのサイトとして位置づけるのだ。

常に各球場の最新情報が、ポータルサイトで書き換えられているということになる。

テレビで、ダイジェスト版として、プロ野球ニュースがあるが、そんな番組はもう用をなさなくなる。

例えば、TBSが、東京ドームで行われる巨人、横浜戦を中継しようとしても無理だ。

素材をニュースとして使うぶんにはいいが、番組としては使えない規則になっており、お互い縛りっこしている。

ブログの場合、携帯を球場へ持ち込ませない、という訳にはいかない。

縛りがないので、誰でも自由にブログ番組の立ち上げが出来るのだ。

ブログのポータルサイトをうまく作れば、野球だけではなく、サッカー中継、全国の祭りサイト、もろもろの番組が、放送時間枠。

時間帯など関係なく、ほぼリアルタイムに送出できるのである。

テレビの場合は、どうしても放送時間、各局間の縄張り争い、あるいは一方的な情報の流し方など問題がある。

しかしブログの場合、ワンセグテレビを見るように、気のついた時、一服の時、信号待ちの時に自由に見られる。

テレビ放送にはない、かなりのメリットを有している。

一人の少年が、5コマ漫画に夢を見、浦島太郎になっていく姿自体が、5コマ漫画の格好の題材になるかと思います。

紙面の隅っこ、あまり注目されることもなく、流れすぎていく5コマ漫画の世界と同じで、あっという間の人生でした。


119 土左衛門

 光男がパスポート時代、結婚には、女房の親から猛反対を受けた。

その親がある会合で、放送関係者と出会った。

その人の話で、放送業界に沖縄出身の誰もがリスクを恐れ、引き受けない仕事でも平気で引き受け、ものの見事に成し遂げる素晴らしい男がいるという話を聞く。

よくよく聞いてみると、それが自分の娘の婿、光男だということが分かった。

そして今までの考え方を一変させたのだ。

勿論光男側も和解し何事も光男を頼りにするようになった。

そして都心の一等地の不動産を光男夫婦に託し亡くなったのである。

光男は先見性では、ずば抜けた面をもっている。

建築法が緩和され都心回帰、マンションのブームが来る、といち早く高層マンションをぶち立てたのである。

六本木ヒルズには届かなかったが、光男は最上階で、ベランダから東京の夜景を眺め、日々旨い酒を飲む。

また南の島には、父が残した広々とした土地と生まれ育った別荘がある。

暇な時は、ふらりと南の島へ飛ぶ。JAL、ANAはワシの下駄だ、と。

貧乏王国大統領閣下と呼ばれたが、気がついてみると名実共に大富豪になっていた。

島の多良間邸の広い庭には、大きなヤラブの木が5、6本ある。

大き目のハンモックとガーデンテーブルをしつらえ、朝食は自動パン焼き機で出来立てのパンと出来立てのジュースを飲む。

ハンモックで本を読み、うつらうつら。

パソコンをやったり、潮時のいい時は、150メートル先のプライベートビーチと呼ぶ浜へぷらりと行く。

この島のリーフは世界的にも類を見ない、東京ドーム数個分の天然プールがいくつも出来上がる。

潮の流れもなく観光客は浮き輪さえあれば絶対安全。熱帯魚達と戯れる竜宮城だ。

光男の特技は、この巨大プールで浮き輪に入り、立ったまま、麦わら帽子をかぶり、サングラスをしたまま立ち昼寝をすること。

観光客は動かないので、土左衛門だ、と大騒ぎ。

ある時は救難ヘリコプターを呼ばれる寸前までいった。

ワシはまだ死にたくないぞ。 

死なせるな。

夕日が周り一面を真っ赤に染める頃、プライベートビーチで、光男は若かりし頃に思いをはせていた。


2026年7月4日土曜日

117 リュウグウノツカイ

 最近、伝説の生き物だと思われた、リュウグウノツカイと呼ばれる魚が釣り上げられたとのこと。

体長数メートル、巨大な太刀魚に似た、鋭い切っ先の口に、流線形の見事な背ビレ。

銀色の魚体には、ブルーラインが1本入っていたとのこと。

巌流島の決闘、佐々木小次郎の物干し竿は言うに及ばず、この魚を怒らせると、人間の心臓は簡単にぶち抜かれるでしょう。

欲に目の眩んだ男が、海で見事に心臓をぶち抜かれ、成敗されたという昔話を聞かされたことがあります。

リュウグウノツカイの怒りに触れたのだろうか?

最近では重さ数十キロ、体長1メートルにも及ぶ、巨大な白イカが釣れ話題になっているとのこと。

海面はスミで黒く染められ、釣り上げる醍醐味は格別だったことでしょう。

一度釣り上げたい、格闘技をしてみたいと描く楽しい夢。

また、畳4枚分にも及ぶ、巨大なマンタをテレビでご覧になったことがあるかと思います。

私、光男がプライベートビーチの如く使用している浜を通り、西表島小浜島間のヨナラ水道を堂々と回遊。

人に危害を与えないため観光の目玉となっています。

無造作に見える海底のテーブルサンゴ類、陽光と見事に調和した動物たちの造形美。

ゆるやかな潮流は夕凪を感じさせ、遊泳の眺めは、地上のいかなる遊覧飛行、宇宙遊泳にも勝るものではないだろうか。

人間にはとてもまねの出来ない、個性豊かなファッションショーを繰り広げ、乙姫たちが舞う竜宮城。

魚たちも、少年の頃に出会った魚たちの、孫かひ孫になっているのかなぁ?

光男は間違いなく、浦島太郎になっていることでしょう。

澄み切った空あり、海あり、命あり。

部屋には、孫たちの大きな写真を張り、5コマ漫画に出ていた、大きなテレビで映画を見よう。

そこは、ひかるの極楽メルヘンだ!!

長年待ち望まれた、羽田石垣島間、直行便が飛ぶようになりました。

更に成田から往復3万円で格安便も出ています。

古代の生き物たちと共存出来る、生まれたままの島。

流れ星の燃える音が聞こえて来そうな島。

体中に張り付く、幸せを呼ぶ星砂の島。

人々の、純な心に触れ合う島。

ここは別天地、ロマンあふれる南の島。

恋を語ろう

夢を語ろう

人生を、語ろう

人生の、アルバムを作ろう


116 持論

 「人生には、ロマンとスリルとメルヘンが必要である!」これは、光男の持論である。

ロマンについては別に書いた通り、スリルも、命を張れる生き方をすれば当然。

さて、光男にとって、メルヘンの世界とは。

やはり、光男のメルヘンは、南の小さな島にしか求められません。

生きる厳しさ、激しさを教えてくれた、台風に遭いたい。

灼熱の太陽エネルギーを浴び、風と戯れ小鳥たちや百面相の雲と語り合いたい。

そうだ、命を誕生させてくれた母なる海の世界もある。

華やかで、色とりどりの熱帯魚たち、格好良くないけどナマコもクラゲもいるだろう。

ヒトデは手が五つ、五回も握手を交わせるなんて、おまえは幸せものだ。

人が親類に見えるのか、擦り寄って来る、小さな耳かきヒレのタツノオトシゴ君、泳ぎが下手で立ったまま流に漂い、どうやって家に辿り着くのだろうか?

魚たちの親子は夜、どうやって寝るのだろうか?

またイソギンチャクに隠れんぼする、真っ赤に白い派手な縦縞のクマノミちゃん。

卑弥呼の世界で、ボスクマノミは自然にメスになり、ボスの座を降りると、自動的にオスに性転換するとのこと。

オスを従えての女王様。

スズメダイやベラ等はクマノミと逆、ボスはオスになり、今までメスだった魚がボスになると性転換するとのこと。

便利というか、人間の世界では考えられない、厳しい世界だ。

周りには、光柱ライトの中、テーブルサンゴの舞台狭しと踊り狂う魚や、薄暗い根元では、魚体をくねらせ愛し合う魚あり。

コバルトスズメの団体は、一斉に向きを変え一糸乱れぬ行動、光に映える魚体の見事な模様は、立体ラインダンスを演出してくれます。

おちょぼ口のハリセンボンが、小ビレをばたつかせ、警戒警報。

突然現れるわんぱく小ザメ、しかし枝サンゴへひょいと入れば絶対安全。

ビー玉ほどの小魚とて、恐れることはありません。

ちょこちょこと出入りしながら揶揄する小魚たちに、小ザメは仕方なく「今に見ていろ、痛い目に合わせてやるぞ」と、威嚇しながら捨て台詞を吐き退散。

見ているだけで、時を忘れさせてくれます。

退職金で、小さな船を買い、風のない日は釣り三昧。

そして風が出れば、畑を耕し、汗を拭かせよう。

果て無き宇宙の天の川の下、母なる大河黒潮に身を委ね、ゆったりとした時浴の中、春には一斉に産卵する魚たちの出産に立ち合う気ままな生活。

子供の頃不自由した飲料水も、同じ町内の島、東洋のアマゾンと呼ばれる、西表島の豊富な水が、海底パイプで引かれており、枯れることはないでしょう。

人生劇場***本土では考えられない、年間日射量、畳2枚分のソーラーで必要な電気は賄えるはず。

水と電気さえ確保出来れば、あとは大自然の恵みで十分、待つのは贅沢過ぎる心豊かな生活のみ。

定年後も夢があり、自分の思った通り楽しく過ごせる。

これぞ、メルヘンの世界ではないだろうか。

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クマノミちゃん


122 傘をさすのは人間だけだ !

  筋肉が付き、ピコタンも徐々に目立たなくなり、勉強で他のいじめっ子を負かす事ができる、と悟った光男は、必ず一番になると猛勉強をするようになった。 周りの家では、石油を一升瓶で買うが、貧しく二合瓶でしか買えない。 小さなランプだが、父は光男に明け渡し、細かい仕事を明るい内に済ませ...