2026年7月19日日曜日

154 風葬

 

亀甲墓は子宮の形だと言われ、命は子宮で育まれ、全うしたら、またそこへ戻ると言われ、入り口は80センチほどの四角い入り口になっている。

もちろん蓋は分厚い四角の石で覆われ、空気が外へ漏れないようになっている。

風葬と呼ばれる方式で、遺体は決して焼かない。また、西洋のように埋めるようなこともしない。

棺のまま墓へ入れ、肉体が風化したころ、きれいに洗骨し墓の中で保存。ピラミッドや日本の前方後円墳同様、焼却はしません。

遺体を棺のまま墓の中へ入れる為、異臭が漏れないよう、入り口が密閉できるようになっているのである。

もちろん100日での洗骨は強烈な異臭など、赤の他人ではなかなかできないものである。

写真は多良間家の墓で祖父母の代まで焼却しなかったので遺骨が入ったまま、DNA鑑定すれば数百年前まで調べられるかな。

光男も両親が亡くなった時、初めて小さな入り口から這いつくばって中へ入ったが、暗闇の周りは、こうべと骨だらけ、足の踏み場もない。

しかし先祖であり、血の繋がったこうべだと思えば、なんとか佇んでいられた。

赤の他人だと、どうしても恐怖心で、その空間には、いられないだろう。

もしかして入り口が、何らかのかたちで塞がってしまえば、もう2度とそこからは出られない。

声を出しても絶対に届かない。

そういう意味で、全く他人はそこへ入れないということだ。

墓の中のスペースは、先祖代々のお骨が保存できるスペース、そして棺を入れ、入れた人が入り口から出るスペースも必要だ。

よって、かなりの空間が必要で、先祖代々の血族が一つ屋根の下で祀られるのである。

大きな亀甲墓を作ることは大きなエネルギーが必要で、罪を犯せば墓に入れてもらえない。

ということは最大の屈辱であり、悪事に対する抑止力は墓だったという。

ちなみに墓の入り口を開けるのは、遺体を入れる時以外は決して開けてはいけない。

どうしても分骨したり、墓の中のお骨を取り出す場合は、鶏などの生贄を捧げて代わりの儀式を行い、開ける必要がある。

日本に風葬をする人種がいたということである。

光男の両親が他界した際、火葬場で焼却することに猛烈な反対があった。

黒島の言い伝えでは、泥棒や殺人など極悪人は焼き捨てる。親を焼くなんてとんでもないことだ、親不孝者になるのかと言われた。

火葬が焼き捨てることと解釈されたのである。

黒島には火葬場はないが石垣島にはあり、行政や保健所も伝染病などの件も考慮し、火葬を勧めていると

長老の皆さんに了解してもらった。

以後は他の島も含め遺体は石垣島へ運び火葬が行われている。島では50年前まで火葬なし、洗骨、風葬が行われていたのである。


153 墓の入り口

 


入り口は棺桶の入る大きさ。


152 画像



亀甲墓。

2026年7月18日土曜日

151 転がすのですか。 

 

飛鳥古墳見学ツアーに参加した時、近くに巨大な石室があった。

参加者に、高校の先生がカメラを持って参加しており、機械や重機のなかった昔のこと。

どうやってこの巨大な石を運んで来たのか、ガイドに聞いても分からず、説明書を隅から隅まで読み、頭をかしげていた。

3トンの石等、昔の人は簡単にかついで移動したはずだと言うと、その先生は怪訝な顔をしてきた。

転がすのですか、どうやって運ぶのですか、としきりに聞く。

写真のように、1トンの鉄の塊があったとする。

それにA点でロープの端をしっかり結わえ付ける。ぐるぐるに6回ほど巻く。最後はB点でまたしっかり結わえ付ける。

そして担ぎ棒を6本入れ、左右ペアで担ぐ、この図だと12名で担ぐ事になる。

この方式は、12名に均等に荷重がかかる。1人90キロ弱だが昔の人ならそれくらいは担げるであろう。

59センチほど浮かせて、声をかけ、右足、左足、と全員同時に、移動すれば、1トンにつき12人で十分運べる。

勿論ペアを組むのは、背丈の近い人、低い人同士、場合によっては、ロープをもう1回巻きつける。

担ぎ棒をもう1本増やせば、女性が加わったとしても何ら問題はない。

石室の3トンの石を縦、横に2本ずつ支柱を入れ巨大な石を結わえ付ける。

上下左右4箇所角に、この原理と同じようにロープを巻きつけ、2カ所で固定する。

一角に10人ずつ配置すれば4角で40名になり、一人当たり75キロの重量だ。

昔の人ならこのくらいの重量、一日数キロの距離でも行軍出来るであろう。

石室から数十キロ圏内に、この石と同じような石の産地があるはずだ。

石室の周りは盛り土したように、小高くなっている。

多分その下には、足場に使った、石垣があるはずだというと、その先生はえらく感心していた。

早い話がピラミッドの石は5メートルの丸木に6回巻き固定し、担ぎ棒を6本入れ丸木に石をもっこ(網袋)で固定。

12人で担ぐと1トンの石を長距離、いとも簡単に移動できる。ロープはあだんの木の気根で出来る。

どこでそのような事を知ったのですかと聞かれたので、黒島には大きな亀甲墓がある。

屋根の部分には、大きな石が載せてあり、下には一坪ほどの空間が出来ている。

屋根の石を運ぶ時、この方法が用いられた。

時代劇に出てくるもっこ、網の真ん中に重い石を載せる。

周りの大勢で持ち上げる、背の高い人と低い人では網目が違いほぼ均等に重力がかかるということだ。

これは亡くなった曾祖父から聞いた話で、エジプトのピラミッドも同じ縄担ぎ方式で作られたと聞いている。

すると、その先生は是非亀甲墓を見せてくれという。

外から見ても、漆喰で固められており、ほとんど分からない。しかし中に入ることは絶対に許されない。

人が亡くなった時でも、決して女性は入れない。

直系の一番近い人から入ることになっており、中は二人が限度で、残念ながら見ることはできないと言ってやった。

先生は教科書の何処にも載っていない。

大変参考になりました、とお礼を言って別れた。

本土のお祭りの御神輿は、背丈の高い人に負担がかかる。

縄担ぎ方式を導入すれば、もっと大きな御神輿が出来たはずなのに。

150 画

 


縄担ぎ。


149 神様だよ

 

この島に、年は58歳、東京からUターンしてきたY君夫婦がいる。

子供はいないが、島の誰もがうらやむくらい、どこへ行くにも二人、すこぶる仲の良い夫婦だ。

普段は無口で、酒もあまり飲まず、ひたすら仲の良い夫婦をやっている。

先日、家を手直しするので、手伝ってくれと言うと「はいきた兄貴、任せてくれ」と引き受けてくれた。

仕事も無事完了、ビールと泡盛を飲むと、ペラペラ喋りだした。

俺みたいな男の所へ、嫁に来てくれた女房、神様だよ、ありがたいと思っている。

実はそれには訳がある、と喋りだした。

小学校5年生の時、担任は若い女のS先生だった。

この先生には、隣の西表島に、同じ教員で恋人、K先生がいたという。

そのK先生は週末になると、考えられないことだが、西表島で拾った、写真の飛行機の残骸、燃料補助タンク。

それに乗って、一人で櫂をこぎ、8キロ近く、海流もある荒海を渡ってこの島のS先生に会いにくる。

島中の人がK先生の命懸け、と言うか、命懸けの恋には、あきれ果て大きな話題だったという。

島の子は、猫よりも身軽に石垣を乗り越え、猫よりも音をたてずに忍び寄り、S先生の戸の隙間から大人のお付き合いなどを観察したという。

素知らぬ顔で、教壇に立つS先生の顔を見、友達同士でつっつきあって面白がっていたという。

そのうち4月になり、島に新しい男の先生が赴任してきた。

こともあろうに、S先生は新しく赴任してきた若い先生にぞっこん、出来ちゃっていることは島中の人が知っている。

命懸けで通ってきたK先生は、泣く泣くまた命懸けで帰るしかない。

島の人たちはK先生が自殺するのではと同情、あまりにも身勝手なS先生の変わり身は、話題になったという。

そしてS先生は、新しい恋人とさっさと結婚してしまったのである。

「兄貴よ、俺は女が信じられなかった、俺など何の取り柄もない、女房はずーっとついてきてくれている、神様、仏様のように思える」だと。

世の男性共よ、女房を大事にしよう。

逃げられてからでは遅い、神様、仏様だ。

そんなY君の余韻に浸っていると、入れ替わりで島一番の物知り博士だと自認する、島じいが泡盛を片手にニコニコ入ってきた。

「何をしているんだ」と言うので、ブログを書いていると言うと、グローブは知っているが、何だそれは、と言う。

島ではインターネットをやっている人はほとんどいない。

年寄りたちはインターネットと言えば、人を誹謗中傷する道具と解釈しているようだ。

まかり間違ってもそんなもの持ち歩くんじゃないぞ、と注意されるのである。

島じい、インターネットって知ってるか、と聞くと「バッハルン!」(あったりまえ、しっているさー)と方言で自信ありげに答えた。

昔は、女しかしなかったのに、最近は男までがやっとる、と言い出す。

観光客が、ヘッドセットをかけて歩くのを見、それがインターネットと、解釈しているようだ。

昔、女性がヘアネットをしていたのを、最近では、男までがやる。それがインターネットと解釈しているらしい。

ヘアネット、ヘッドセット、インターネット、頭の中で混乱しているようだ。

言われてみれば、インターネットは頭を使う。

頭に関係するヘアネット、ヘッドセット、インターネットのチャンプルーだー

あれれ、この島じいの解釈、間違っているのかな?

おい、おい!こっちまで脳内超伝導現象だ。


148 画像

 


ジュラルミン製、飛行機の残骸。

154 風葬

  亀甲墓は子宮の形だと言われ、命は子宮で育まれ、全うしたら、またそこへ戻ると言われ、入り口は80センチほどの四角い入り口になっている。 もちろん蓋は分厚い四角の石で覆われ、空気が外へ漏れないようになっている。 風葬と呼ばれる方式で、遺体は決して焼かない。また、西洋のように埋める...