2026年9月26日土曜日

175 豊年祭


黒島には、かなり古くから伝わる、豊年祭のハーリー競漕がある。

ハーリー競漕は、中国や沖縄本島、石垣島や周りの島々でも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。

船を漕ぐ競漕だけでなく、ウーニーと呼ばれる走り手、その走りが重要な役割を果たす。

写真はウーニーの姿で、褌(ふんどし)をきつく締め上げ、臀部を露出させた勇壮な姿。

もちろん上半身もご覧の通り軽装で、このウーニーに選ばれることは、走りが速く、非常に名誉なことで、最高の人気者だ。

ウーニーは「強い脛」の意味で、健脚ということ。

ウーニーは、村長から杯を頂き、腰くらいまでの所に待っている船に、砂浜、浅瀬を走り飛び乗る。

そして船を漕ぎ、沖合にある旗をとってUターンする。

帰りは船にスピードが付いているため、深さ胸元くらいの所でウーニーは飛び降りる。

両手で水をかきながら、浅瀬、砂浜、そして村長の所へ来てタッチする。

速い方が勝ちだというわけだ。

そういう意味では、ただ陸上で走りが速いだけではない。

水中をうまく走るテクニック、方法が重要である。

また舳先に、ピーゾーと呼ばれる、棒高跳びの竿に匹敵する、竹の竿を突いて、漕ぎ手とトゥージィと呼ばれる、舵取りと連携する。

船の到着時ウーニーが、船から飛び降りる合図を舵取りが出す。

舳先のピーゾーは竹竿を杖にし、舵取りと強引に船を方向転換しないと、ウーニーは、船の下敷きになる。

そのタイミングが、危険極まりない状態だが、そのために漕ぎ手に指示を出し、ピーゾーに指示を出す。

飛び降りる瞬間をウーニーへ指示するのが、トゥージィと呼ばれる舵取りの重要な役目だ。

また、Uターンをする時、旗を船に取り込まなければ失格である。

かなりスピードが出ている船で、旗を取れる状態で、Uターンさせる。

50センチでも離れれば、旗が取り込めない。そこがトゥージィの一番重要な役目だ。

前回、トゥージィとトウジ(妻)の話をしたが、船を操る舵取りと、家庭を切り盛りする妻を重ね合わせている表現、その辺に繋がりがあるようだ。

このウーニーハーリーの方式は、中国や日本国内の他地域には見られない、黒島独自の形式で、なんでこの島にしかないのだろうか。

この島は、かなり古くから他には影響されない、独自の文化があったのではないかと推測する原点である。

昔から南の島に伝わる、このウーニー、トライアスロンの原点ではないだろうか。 

174 画

 


ウーニーを船の下敷きにさせないため、トウジーの怒号が飛ぶ。

(写真は大野隆志氏提供)


173 画

 


水中を走るには、熟練した技術が必要。


172 画

 


超人気者、ウーニー。


171 偽ミンク 

 

この島では、気温が10度を切ると、近海の魚が凍死して浮き上がってくる。

一番寒さに弱い魚は、フクラビと呼ばれるカワハギである。

立派な皮を纏い、見た目は寒さに一番強そうな魚が一番弱い。

カワハギ! お前はイミテーションのミンクのコートを着ているのか。

ヤマト(本土)嫁が民宿をやると大繁盛する。

料理や観光客の心を理解できるためだろう、と古老が呟いた。

20年も前だが、20歳前後の女が島へ来て、島男とどうしても結婚がしたい、男を紹介して欲しいと頼み回ったそうだ。

十人並みの容姿で問題ないが、何かいわくがあるのか? 

頭がおかしいのか、と誰も相手にしなかったそうだ。

最近、ヤマト嫁が活き活きと活躍する姿を見て、あの娘は20年先の今を見通していたのではないか、決して頭がおかしかったのではない。

あの娘が民宿をやっていれば、今頃は島一番の民宿になっていただろう。

島として大きな損失だった、としみじみ呟いた。

「光男! 今からでも遅くない。島には40代、50代のチョンガーがいる、その娘を探して来い」と。

お~い!心当たりの女性、いるか?

足腰は弱っているが、最後の力を搾り、島じいが一肌でも二肌でも脱ぐ、と言っているぞ。

今一度、島じいの所へ行ってくれ。


170 垂れ垂れオッパイ

 島のじいさんと飲んでいたら、今の女のオッパイは、なっていない、あの格好は何だ、と怒っている。

猥談でも始まるのかと思うと、真面目な話のようだ。

昔の女は、オッパイを長く長く伸ばす訓練をしていたんだぞ。

子供を背負い、オッパイを欲しがったら肩へちょこんと乗っけ、子供にオッパイを飲ます。

その間、手仕事が出来る。いちいち抱いていたら、乳を飲ませる時間がもったいない。

乳の垂れ具合で、働き者のいい嫁かどうかが決まったと言う。

おかしな話もあるもんだと、聞いていると、隣に60代のおばちゃんがいて、この話は本当かもしれない。 

亡くなった母は、本当にオッパイが垂れ下がって、肩に乗っけられるくらいの長さだったという。

そう言われてみると、この話は本当なのかなあ?

アフリカの原住民の女性のオッパイがかなり垂れ下がっているが、もしかしてこの話のとおり伸ばしたのかな。

ある日、90歳を過ぎたおばあちゃんに、どうしたらオッパイを長く伸ばせるのか、と聞いてみた。

そのばあちゃんは、にっこり笑って、「あんた! 私に惚れたね! 久しく絶えていたが今夜はいいよ!」とにじり寄って来た。

おい、ばあちゃん勘違いするなよ!

90歳を過ぎ、三途の川へ片足つっこんだ、ばあちゃんに乗ったら、オレはギネスブックに載るよ。

最中に、いく~、いく~とお迎えが来たら豚箱行きだ。

くわばら、くわばら。

とりあえず、快楽どころか葬式の事が頭をかすめ、逃げ帰ってきた。


2026年7月28日火曜日

169 献杯


女房一族のドンが亡くなった時、献杯の音頭は、光男しかいないと音頭を取らされる信頼、急変ぶりである。

勿論、光男は必死に働きマイホームを構えていたが、女房の親が年を取り、足元もおぼつなかったので、親の面倒は子供が見るべし。

と嫌がる女房を説得し、同居に踏み切っていたのである。

塩を撒いたはずの男が、今や心から信頼出来る婿として同居する。

安心した親は、都心の一等地と建物を遺言で女房に譲って、あの世へ旅立って行ったのである。

光男は常々女房に言っていた。

お金は、生きる為の道具、幸せになるための小道具に過ぎない。

金の亡者となり、金の奴隷と化すべきではない。

貧しくても、心豊かに、優雅に生きられる方法がある、と言って、つつましく生きて来たのである。

女房も財産が転がり込んだからとて、ブランド品を買いあさる訳ではなし、孫たちの成長をいつくしみ、楽しんでいる。

孫はかわいい、ジジ、ババとマクドナルドへ行くのが、一番の楽しみのようで、ハンバーガーをほおばる横顔を見ていると、毎日が楽しい。

一緒に風呂に入り、ジジ、ババの買ってくれたパジャマだ。

と言ってウルトラマンのパジャマを着、ウルトラマンのパンツを着て、フトンへ潜り込んでくる。

スヤスヤ寝息を立てる横顔を見ると、幸せの極致である。

片や学は、昼間は掃除、炊事洗濯など、お手伝いにやってもらえるかも知れないが、夜は一人でチクチク痛む肝臓をさすり、不安な日々。

寝ても覚めても頭の中は、札束が飛び交っている。

布団に入って、横に寝るのは猫だ。

夢枕には、金の延べ棒で出来た階段を、一歩一歩上がっているだろう。

一歩一歩、あの世へ近づいているんだぞ!

これから先、この男の頭は正常化するのだろうか。

少子化の影響なのか、親の遺産を当てに、フリーターを誇らしげに自慢する人に出会う。

冒頭に出会った、文京区の青年は、最たるもので、光男から見ると、己の人生を無駄にする、許せない輩で、怒り心頭だ。

おい! めん玉ひんむいて、よく見ろ!

土手の川風を涼やかに受け、夫婦が孫二人と手をとり、心豊かに優雅に散策している。

対岸には、男がリュックサックに札束を詰め、周りをキョロキョロ警戒しながら歩いている。

後からは、悪しからぬ輩がなんとかリュックサックの中身を、少しでも掠め取りたいと見え隠れして狙っている。

しかし男は屈強な恐ろしい犬、三匹に引っ張られ、一生懸命犬の糞を処理している。

貴方は、この二つの姿を見、どの道を選ぶのか、本気で考えて見ろ!

貴方の鼓動、今の一鼓は、もう後戻りしない。

のんびりしている場合ではない。

貴方は今、一刻一刻、白髪、シワ、禿げの世界へ、一歩一歩近づいているんだぞ!

もう一度、めん玉ひんむいて、土手を見ろ!

そして、胸に手を当て、己の鼓動と、冷静に会話しろ!

まさかお前の両親は、お前を犬の糞拾いにこの世へ誕生させた訳ではあるまい。

 人生の 喜怒哀楽に ロマンあり

 若者よ 思い残すな 明日は華

 貴方には 誰にも盗られない 知恵がある

 貴方には 誰にも止められない 鼓動がある

 これしかない!

 己の人生ドラマ・ロマンを持て!

 そして

 命を張れ!

 命を張れ!


175 豊年祭

黒島には、かなり古くから伝わる、豊年祭のハーリー競漕がある。 ハーリー競漕は、中国や沖縄本島、石垣島や周りの島々でも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。 船を漕ぐ競漕だけでなく、ウーニーと呼ばれる走り手、その走りが重要な役割を果たす。 写真はウーニーの姿で、褌...