2026年5月11日月曜日

1075 我輩は猫ではない!!

 当時の沖縄は米国の統治下、東京から遥か二千キロも離れ、生まれ育った島は、日本の地図のどこを探しても載っていなかったのです。

そんな島があるはずがない!

地図にない、一週間以上もかかる、地の果てへ、娘を嫁に出す訳にはいかない!

代々江戸っ子の親には、とても理解してもらえず、あたかも出所不明の住所不定男か、結婚詐欺師の扱い。

訪ねる度に塩を撒かれ、しまいには座布団を投げられる始末。

結婚話は暗礁に乗り上げ、破談になるかと思われましたが、男としてここで引き下がる訳にはいかない。

意地を見せようと、芯から怒ったが、親戚、頼る人とてない二十五歳の若さ。

一人で立ち向かうしかありません。

結婚は当人同士の問題、親や家族が結婚する訳ではない。

文句を言われる筋合いは無いはずだ!

決して、路頭に迷わせるような事はしない。

信じて欲しいと説得。

最後の手段に訴えるしかありませんでした。

これ以上話をしても無理だ!

とにかくこの家を出ろ!

俗に言う駆け落ち・・

彼女が必要な着替えだけはと取りに行き、風呂敷包にし出る直前、

「こちとら江戸っ子だ、犬や猫がくっ付く訳ではあるまい、隣近所の付き合いもある事だし、式くらいは挙げたらどうだ!」

何! よくぞ犬、猫扱いしてくれたな!

我輩は猫ではない!! と怒鳴り返したかったが、ひかるは決断が早い。

何も喧嘩したくて喧嘩している訳ではない。

要は結婚がしたいのである。結婚が出来ればいいのである。

瞬時に頭を切り替え難問解決。

包みを解かせ、「式の日取りは、追って参上つかまつります」と。

彼女は心配顔。

今後この結婚話に反対する様な言動があったら、いつでも私のアパートへ来い、朝でも、夜中でも問題ないよう、管理人には話をつけておく、と・・

目出度く式を挙げ、娘と息子の二人の子供にも恵まれ、あれだけ反対した親も孫達の顔を見、誤解が溶けて行きました。

江戸っ子気質は一度信頼すると、後は何も残しません。

何事もひかるを頼りにし、女房より先に相談してくれるようになりました。

何んで実の娘に、先に話をしてくれないのかと、女房が焼餅を焼く。

平和な、ひかる一家であった。

1074 恋

 毎日が、ひもじい思いをし、泥棒走りをしていた二十歳。

この世にこれ以上いないかと思われる、美しい女性に、バイト先で出会いました。

声をかけるにも気が小さく、沖縄生まれだと言う、多少の劣等感もあり、ひたすら胸をときめかすのみ。

ある日、まさかと思われる、一大事発生。

その女性が、食欲がないので、自分のお弁当を食べて欲しい、と持って来たのです。

鮭と卵焼きだけのお弁当でしたが、まさかと思われる、好きな女性。

手作りの弁当かと思うと、美味しいの、どうのと言っている場合ではありません。

そして、彼女が目の前で見ているのです。

全身パニック!

世の中バラ色、生まれて最高に甘い食べ物に出会いました。

このままずーっといつまでも一緒にいたい・・・

弁当の味が忘れられず、恋が芽生え、一気に炎と燃え出し、この女性なしに人生はあり得ないと思うようになったのです。

男の恋、一度燃え出したら、止めようがありません。

体を張っての獲得作戦へと展開。

しかし相手は、生まれも育ちも東京両国で、垢ぬけた生粋の江戸っ子。

田舎っぺの取れない三度笠の似合う男には、とても無理かと思われましたが、「命に賭けても、幸せにしてみせる、この気持ちは世界中を探しても、私以上の男はいないはずだ!」 

結婚してくれと、猛うアタック!

一途な気持ちが伝わり、結婚に同意してくれたのです。

やったー!!、

男の情熱、何事か成らざらん!!

天の神、山の神、地の神、海の神、地上の全ての神々を招待し、どんちゃん騒ぎをしたくなったのも当然。

あまりの嬉しさに、気が狂ってしまうのではないか、と自分自身がわからなくなりました。

しかし、暗転、これからが一大事件。


1073 食糧戦争

 人類は間違いなく、100億に達しており、カラスとの食糧戦争は回避しがたい事でしょう。

都市部では、身近に感じられない事ですが、農村部や温暖な国では、すでにカラスとの食糧戦争が始まっています。

果たして、人類は勝てるのだろうか?

カラスは、人家に近い所に棲んでおり、核や化学兵器は使えず、戦車を出動させたとしても、一羽打ち落とされれば危険を察知し、戦車よりも早く、自由に空を飛び、山や川、海を越え、国境を破り、逃亡。

人類の一点攻撃型兵器は、通用しません。

例え、二、三万羽打ち落とされたとしても、毎年増える数からして、彼らにとっては平気な数。

もしひかるが、カラスの大統領に就任したならば、人類との食糧戦争は、大勝利を収める事でしょう。

一万羽単位で、カラスの編隊を組み、地球上の各ゴルフ場へ基地として集結させ、上空300メートルから、ホールを狙って、小石を落下させる訓練をします。

ゴルフボールは、訓練用に使う為、必然的にゴルフ場は、カラスの軍事基地と化し、手始めに、一万羽のカラスに、其々300グラムの小石を持たせ、猛スピードで走る、新幹線の線路へ一万個の小石を落下させ、波状攻撃。

新幹線は、小石の山に脱線し、多数の死傷者が出、世界的なニュースになる事でしょう。

滑走路や高速道路、至る所で、小石の攻撃を行う為、人間は恐怖のあまり、新幹線、飛行機、車を利用しなくなるでしょう。

線路の小石は拾って何回でも使用。

軍事開発費はいらず、即座に実行出来、路上の人や民家にも一万個単位で、小石の雨を降らせます。

屋根やガラスは割れ、ライフル銃で撃ち落とすにも、300メートル上空までは届かず、特に黒いカラスの夜襲は、効果覿面。

手が付けられません。

農家へは大事な食糧確保の為攻撃せず、人間をカラスの奴隷にするのです。

カラスを「烏合の衆」、と馬鹿にしていた人間共が、逆に、烏合の衆、と呼ばれる羽目になります。

カラスの大統領は、作戦本部を移動し、世界各地の戦況を悠々と視察旅行。

各国首脳は、連日の応戦会議で、精根尽き果てる事でしょう。

強力な軍事力で、地球の保安官を自認するアメリカ大統領が、茹で上がりのタコ顔で、目ん玉飛び出させ、「カラスの野郎!、ブッ殺してやる!」、と喚き散らす、じだんだ姿が目に浮かびます。

カラスの大統領は、カッカラカ、カッカラカ、と高笑い、見下げる事でしょう。

飛べない人間、国境、人種問題を抱える人間が、カラスに勝つ事は、容易ではありません。

カラスは、すでに貝類を上空より落下させて割り、中身を食べる戦術を習得済。

人間を共通の敵と認知した場合、高速道路を走る車に、小石を落下し、一台でも事故を起こさせ、殺せる事が分かると、全カラスに伝達され行動を開始。

カラスには国境がない為、国際的な問題解決策が必要。

国際会議の開催を提案します。

ヒッチコックの映画が、現実のものにならない事を切望しよう・・・

 今すぐに、開発しよう、カラスピル!

1072 カラスの大統領

 カラスの行動を観察すると、見事な連携プレー、編隊行動をとっている事が、分かります。

ニワトリのヒナを狙う時、一羽は見張り役。

もう一羽は、ケンカを仕掛ける役。

残りの一羽は、ヒナを奪う役目で、三羽での連携プレー。

親鳥が、ケンカを仕掛けられ、一羽のカラスに向かって行き、ヒナ鳥は、親の泣き声、様子に、危険が迫った事を感じ、オロオロ逃げ回るだけ。

奪う役目のカラスは、空から急降下し、逃げ回るヒナ鳥を事もなげに持ち去ります。

この行動を三度繰り返す事により、平等にヒナを確保。

雑食性で、食欲旺盛なカラスに、殆んどの鳥類は、木の実や虫、卵やヒナ等をことごとく持って行かれ、その悪知恵には、とても追いて行けません。

小学生の頃、ひかるはカラスに弁当を取り上げられ、仕返しに卵を取ってやろうと、カラスの巣へ近付くと、何時どうやって呼び寄せたのか、数百羽のカラスが、上空に飛来し、編隊行動。

カラスは、巣を高い所に作る為、木の上で、本気に襲れたのでは、ひとたまりもありません。

事実、数十羽のカラスは、二メートル圏内に接近し、羽を広げて、黒い口ばしを目いっぱい開け、赤口での威嚇合唱。卵を取れば、即座に攻撃出来る臨戦態勢、恐怖を感じ逃げ帰りました。

何んで自分の卵でもないのに、他のカラスが集団攻撃行動に出るのか?

攻撃態勢のカラスは、血族なのか、それとも種族を守る為、安全保障条約を結んでいるのだろうか?

昨今、自然界の生態バランスが崩れ、人間が原因のように見られていますが、問題はカラスに有るのではないだろうか。

他の動物が減少する中、カラスには殆んど天敵がいない為、繁殖の一途です。東京の空も既に制覇され、神宮の森は、絶好の棲家として、他の鳥は、黒い軍団の恐怖に近付けません。

現在、地球上に、十億のカラスがいるとし、10年間で倍増すると、想定した場合、50年先には、320億の数に大繁殖。

1071 画 カラス

 


カラスの大統領。

1070 夫婦喧嘩

 また、沖縄のおみやげ店で目に付くのか、100歳にもなるかと思われる、シワシワだらけの、歯っ欠け老夫婦のお面でしょう。

この老夫婦面、実は、夫婦和合の、不思議な力が秘められている面だという事は、あまり知られておりません。

夫婦喧嘩は、どこでもあるかと思いますが、口もきかず、冷戦状態が続いた後でも、このシワシワだらけの、歯っ欠け老夫婦のお面を見ると、思わず吹き出してしまい、些細な事での夫婦喧嘩が馬鹿馬鹿しくなり、仲直りするとの事。

また、このお面をかぶっての、老夫婦の面踊りは最高です。

おじいちゃんは若い時、人一倍スケベーだったとの事。

腰も立たなくなった今、おばあちゃんが、「私のこと、好いとるか・・」と色っぽく迫り、もじもじし・・「おばあちゃんは、世界で一番美しい・・昔も今も一番好いとるぞー」と答えると、「よくも、焼きもちを妬かせてくれたもんだ・・」、とつねり、100歳もの老夫婦が、這いずり、顔を赤らめ、新婚初夜を思わせる仕草は、腰が抜ける程笑わせてくれます。

お祭りや結婚式などに舞れ、舞台上では決してお面を取らず、どの夫婦が舞ったのか、演者当ても場を盛り上げます。

夫婦の機微、和合を楽しませる踊り、一度は世の夫婦に見せたい踊りです。

また、この面踊り、忘年会や結婚式に踊ると、大受けする事間違いなし。

お面を新婚祝いに送ると喜ばれる事、受けあいです。

このお面は「ヤマシキのアブジヤーマー」、と呼ばれ、山崎村のおじいちゃんおばあちゃん、と言う意味で、この山崎村、今は廃村ですが、昔黒島にあった村で、歯っ欠けお面の発祥地です。

知念家では代々、高砂のお面、として大事に祭られております。

ひかると言う男の脳内プログラム、生い立ちの影響なのか、引く事、後退するという事が、考えられないのである。

前記した通り、12ミリ、いや、12カ月、80センチのスケール上で人生を考えるので、後退という事はあり得ないのである。

勿論、後悔するという事も殆んどない。

そして後輩達には、「俺は、背中に断崖絶壁、崖を背負っている、振り向けば、目まいでまっ逆さま、木っ端微塵。だから、振り向く事もしない。常に進む以外はない。嵐が来れば、四つん這いになり、更に激しくなれば、腹這う、そしてミミズとなって、這いずってでも、前へ進む」

人生とは、そういうものだ、と説くのである。

「生半可でない、常に極限の生き方を求めろ!」と。

1069 画 面踊り

 


ジジババ面踊り。

1075 我輩は猫ではない!!

 当時の沖縄は米国の統治下、東京から遥か二千キロも離れ、生まれ育った島は、日本の地図のどこを探しても載っていなかったのです。 そんな島があるはずがない! 地図にない、一週間以上もかかる、地の果てへ、娘を嫁に出す訳にはいかない! 代々江戸っ子の親には、とても理解してもらえず、あたか...