2026年3月8日日曜日

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縄担ぎ。


 1149 神様だよ

 

この島に、年は58歳、東京からUターンしてきたY君夫婦がいる。

子供は無いが、島の誰もがうらやむくらい、どこへ行くにも二人、すこぶる仲の良い夫婦だ。

普段は無口で、酒もあまり飲まず、ひたすら仲の良い夫婦をやっている。

先日、家を手直しするので、手伝ってくれと言うと、「はいきた兄貴、まかせてくれ」と引き受けてくれた。

仕事も無事完了、ビールと泡盛を飲むと、ペラペラ喋りだした。

俺みたいな男の所へ、嫁に来てれた女房、神様だよ、ありがたいと思っている。

実は、それには訳がある、と喋りだした。

小学校5年生の時、担任は若い女のS先生だった。

この先生には、隣の西表島に、同じ教員で恋人、K先生がいたという。

そのK先生は週末になると、考えられない事だが、西表島に打ち上げられた、写真の飛行機の残骸、燃料補助タンク、それに乗って、一人で櫂をこぎ、8キロ近くもあり、海流もある荒海を渡って、この島のS先生に会いに来る。

島中の人がK先生の命知らず、と言うか、命がけの恋には、あきれ果て、大きな話題だったという。

島の子は、猫よりも身軽に石垣を乗り越え、猫よりも音をたてずに忍び寄り、S先生の戸の隙間から、大人の交わる姿、声などを観察したという。

素知らぬ顔で、教壇に立つS先生の顔を見、友達同士でつっつきあって面白がっていたという。

そのうち4月になり、島に新しい男の先生が赴任して来た。

こともあろうに、S先生は新しく赴任して来た若い先生にぞっこん、出来ちゃっている事は島中の人が知っている。

命がけで通って来たK先生は、泣く泣く、また命懸けで帰るしかない。

島の人達はK先生が自殺するのでは、と同情、あまりにも身勝手なS先生の変り身は、話題になったという。

そしてS先生は、新しい恋人とさっさと結婚してしまったのである。

「兄貴よ、俺は女が信じられなかった、俺など何んの取り得もない、女房はずーっとついて来てくれている、神様、仏様に思われる・・」だと。

世の男性共よ、女房を大事にしよう。

逃げられてからでは遅い、神様、仏様だぞ!!!

一番の物知り博士だと自認する、島じーが泡盛を片手にニコニコ入ってきた。

何をしているんだと言うので、ブログを書いていると言うと、グローブは知っているが、何だそれは!と言う。

島では、インターネットをやっている人はほとんどなく、島外から来た人でISDNでインターネットをやっている人がいるが、とても重くて使い物にならないという。

年寄りたちはインターネットと言ば、人を誹謗中傷する道具と解釈しているようだ。

まかり間違ってもそんなもの持ち歩くんじゃないぞ、と注意されるのである。

じーさん、インターネットって知ってるか、と聞くと、「バッハルン!」、(あったりまえ、しっているさー)と、方言で自信ありげに答えた。

昔は、女しかしなかったのに、最近は男までがやっとる、と言い出す。

観光客が、ヘッドセットをかけて歩くのを見、それがインターネットと、解釈しているようだ。

昔、女がヘアネットをしていたのを、最近では、男までがやる。それがインターネットと、解釈しているらしい。

ヘアネット、ヘッドセット、インターネット、頭の中で混乱しているようだ。

言われてみれば、インターネットは頭を使う。

頭に関係するヘアネット、ヘッドセット、インターネットのチャンプルだー

あれれ、この島じーの解釈、間違っているのかな・・・?

おい! おい! こっちまで脳内超伝道現象だ!!?


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ジュラルミン製、飛行機の残骸。

2026年3月2日月曜日

 1147 島移住失敗男の物語。

 

定年島移住した、吉田氏(仮名)が、深刻な顔で相談に来た。

移住した時、世話をしてくれた人が、いつの間にか疎遠になり、その次に親しくしていた人も、付き合ってくれなくなった。

とうとう3番目に親しくしていた人に、酒を飲んでいる時、怒鳴りつけられたという。

本土では、男同士が親しくなると、肌を触れあったり、肩をたたいたりするのは、ごく当たり前だ。

しかし島人達は、男が男に触れる事、べたべたしたり、肩をたたいたりする事は、一番嫌悪感を感じるのだ。

俺は、オカマじゃないんだ!、べたべたするんじゃない!、という、男っ気が異常に強いのだ。

吉田氏は、島の気質を知らずに、親しくすればする程、こまめに、べたべた、肩をたたいたりしたようだ。

島人にとって、肩をたたかれようものなら、とんでもない事で、往復ビンタを喰わされたような、嫌悪感を覚えるのだ。

吉田氏もそれに気付き、なんとか関係を修復したいとの事だが、一度壊れてしまった、男同士の関係は、そう簡単に修復出来ない。

その悩みの相談であった。

たぶん、男っ気の強い島の人達との関係修復は、かなり時間を要するだろう。

深く反省し、時間をかけて、解決しよう、と諭した。

島暮らしや田舎暮らし、ペットの問題や、周りとの付き合い方、その土地土地の習慣などは、注意が必要だ。

よく見ると、若い人達は、意外と、べたべたしているが、中年以上の人達は、べたべたする事を異常に嫌うのだ。

注意しよう。


1146 至福の時間

 

人生、いくつになっても苦楽は付き物だ。

おじさんも東京に二人の孫がいるが、二人とも、小児喘息持ちだ。

娘からのメールで、今病院で点滴をして来たとの事。

孫のゼーゼー苦しむ顔、普通の人並の子になって欲しい、と夕日に願をかけていたところだ。

若い時の辛さや苦しさは、いくらでも取り返す事が出来る。

歳をとると時間と体力に焦りを感じ、本当に肝が痛む。

胆汁を搾り切られる思いがする。

確かに今は辛いかも知れない。

しかし取り戻せるのだから・・

その辛さを肥やしとして、強い女性に変身したほうが良い、と言うと、二人は目を合わせてうなずいた。

最初の娘は、横浜出身で、続いた子が名古屋出身だという。

二人とも年齢は20代後半、ぎりぎり30前かなという感じだ。

話をしていて感じた事は、二人とも、私に限って、という自信があった。

そして、まだまだ遊びたいという気持ちが働いたようだ。

もし男が、それを察知したら、遊び心は、女より、はるかに上だから、遊び相手を探して次へと、展開していくのは当然だ。

他人ごとではない。自分の人生なんだから、何でもっと真剣に、積極的に、先へ進めなかったのだろうか。

若い時に少しでも遊びたい、という気持ちは理解出来るが、結果として、それは後々つけがまわって来る事になる。

私の知人にも晩婚で、30代後半で子供が出来た人を何人も知っている。

定年時、子供がまだ大学生、定年で時間が出来、楽しい老後をと思いきや、それどころではない。

やむなく働きに出るが給与はがっくり、今まで自分が顎で使っていた、子供みたいな若造に今度はしごかれ、心身共に疲れ果てる。

帰りに、飲み屋で気を紛らせる、ストレスで体調まで崩してしまう。

そのような人を何人も見てきた。

結果的に、結婚が若ければ若い程、早ければ早いほど、定年後は、時間がたっぷりあるので、そこで夫婦で、旅行したり、場合によっては共通の趣味を育てたりと、本当の至福の時間が出来る。

若い時に苦労すれば、年をとってから楽出来る。

若い時に、楽をして遊んでいると、今度は老後に、苦労が待ち構えている。

だけど、まだまだ大丈夫だ。めそめそしないで、新しい恋人を本気で、積極的に探したほうがいい・・

南の小さな島は誰も、周りにいない。心を打ち明けたとしても、他人に聞かれるはずがない。

二人とも、心の内をさらけ出し、明るくなった。

しかし、本当に、胸がつぶれる思いで心配をし、夜も寝ないで、心を痛めているのは、親御さんだろう。

分からないはず、と思っても感じるのが親だ。

今ごろ自殺でもしているのではないかと、心配で心配で寝られない日だろう。

元気な声を親に聞かせてあげるんだぞ、と言うと、二人とも、にっこりうなずいた。

ところで、夕べ民宿で遅くまで酒を飲んでいたが、年齢30歳前後と思われる、好青年が連泊。

恋人募集中だと言ってたから、今日にでも可能性はあるぞ。

帰って夕食がすんだら、民宿の庭で、今夜も大勢で酒を飲むだろうから、さっそくアタックしてみろ。

二人はもう元気そのもの。

がんばるぞ! がんばるぞ! と、シュプレヒコールだ。

いつの間にか夕日は、若い二人の失恋という2文字、漆黒の海の底へいざなっていった。

夕日よ、今夜もありがとう・・・・


1145 馬鹿野郎!!

  

私の前を通り過ぎる時の思いつめたような横顔からして、只ごとではないな・・

取り急ぎ、島の消防団を呼ぶ必要があるな、と腰を浮かせ携帯電話を取り出すと、その子は胸元まである深さへ行くと、ピタリと止まった。

そして両手を口もとへ持っていき、腹の底から、あらん限りの声で、夕陽へ向かって叫び出したのである。

OOの馬鹿野郎!

OOなんか死んじまえ! 

OO! あんたなんか動物以下だ!

失恋した男の名前だろうか、悔しさを夕陽にぶつけている。

そうしていると気がつかなかったが、砂浜の岩陰にでも居たのだろうか、今度は左側からもう一人、女の子がズブズブと海へ入って行き、同じ態勢で叫び出したのである。

XXの馬鹿野郎!

XX! 今に見ていろ!

若い女の子が、真っ赤に沈む夕日を真ん中に、ステレオで叫ぶ様は、心打れ、物悲しい。

涙を洗い流しているのだろうか。

両手で、ざぶざぶ顔を洗った後、女の子は砂浜を上がって来た。

私の存在に気がつくと、ばつ悪そうな、気恥ずかしい顔をした。

「塩水のまま、民宿へ帰るとまずいので、そこのシャワー浴びたほうがいいぞ」と言うと、真っ直ぐシャワーの方へ行った。

シャワーの場所を聞き返さないところをみると、この島は初めてではなさそうだ。

もう一人の子も私の声が聞こえたのか、前の子の後を追ってシャワーへ行った。

自分達の、見せては恥ずかしいシーンを見られてしまった、しかし相手は、どう見ても島の人らしい。

シャワーの間に安堵感があったのか、二人はシャワー後、真っ直ぐ帰るかと思うと、私の前の腰掛け代わりの流木に腰をおろし、一緒に夕日を眺めた。


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島の夕日。

1155 北海道のおばちゃん

   島の民宿では夕食後、泡盛がただで振舞われる。 中庭の大きなテーブルで、星空を眺めながら、お互い自己紹介をし観光客は談笑。 ふらりとその輪の中へ入っていくと、島の人だという事で話を聞きたく、周りに集まってくる。 北海道から来たという、60歳過ぎのおばちゃんが、早速、隣へ割り込...