2026年1月17日土曜日

1043 VTR

 

ロケーションを多用した番組作り、ひかるにとって、それ自体は朝飯前の仕事だ。

並行して、大きな壁が目の前に立ちはだかったのである。

それは、VTRの問題だ。

当時日本では、アメリカアンペックス社のテープ幅2インチVTRが導入され、独占していた。

勿論、ローカル局では買えない代物で、キー局に5、6台納入されていたから、NHKも含め、国内には30台前後が導入されていたであろう。

なんといっても、目玉が飛び出る程の値段で、日本のメーカーでは、パテントなどがあって、真似の出来ない。

極めつけは、可搬型のVR3000という、旅行トランク大の機種で、アンペックス社とNASAが軍事偵察機搭載用に開発したという、当時の最先端技術が集約された機械だ。

キー局すら持てず、パビックという会社とひかるの八峯テレビしか持っていないため、ドラマロケやスタートしたVCM等で重宝されていた。

ひかるはこの機械で稼げば稼ぐほど、将来の後継機種を考えずにはいられなかった。

たぶん防衛庁やNHKも含め、国内には5台前後が導入されていたであろう。

このままいけば、日本の放送業界は、儲けの大半をごっそり、アメリカへ上納する事になる。

反米感情の激しいひかるにとって、とても許しておけるものではない。

早速立ちあがったが、とても一人の力で太刀打ち出来るようなものではない。

それこそ、死闘と呼ぶにふさわしい試練が待ち構えている。

しかしひかるは、3年をもって、日本からアメリカ製VTRの影を抹殺する。

そして、5年後には、日本のVTRが、全世界の放送局を独占したのである。

また、日本のVTRが軌道に乗るやいなや、「日本の野球中継を、アメリカ大リーグ野球中継に負けない番組にしたい」という話が、ひかるに持ち込まれた。

アメリカと聞くだけで、「やってやろうではないか!」と即座に行動開始。

やっと野球にスローVTRが一台導入された時期だと言うのに、一気にスローVTR6台を導入し、当時、誰もが想像出来ない番組を作り上げたのである。

現在の野球放送の原点を、あっと言う間に作り上げ、業界人のど肝を抜いたのである。


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