2026年4月24日金曜日

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ハート島。

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f1184 死なすしかないさー

いわれたとおり水をかけると、確かに寒いのか、泣き止まる、がしかし、30分もするとまた泣き始まる。 30分おきに水をかけ通したが、人間の体が持たない。 オスのヤギのいるところ知っているので、連れてこようか、というと、奥さんは即座にブルルン、ブルルン、ブルルンと、首を横に振る。 これ以上ヤギが増えたらどうなる、よほど懲りたと見える。 「仕方ないさー、殺すしかないさー」 この後に及んでは、高山夫婦も従うしかない。 しかし、ヤギを殺せる人はそういない。 3人ほど名前を挙げてもらい、頼みに行くと、勘弁してくれとのことだという。 そこでまた育造爺ジイーは、最後の頼みで、ひかるのところへ行けといったとの事。 確かに子供の頃、ヤギは食用に飼育していたので殺し、解体した経験はあるが、いまさら殺傷は嫌だ。 あまりの困惑顔に、ひかるの方で3名のうちの一人に泡盛をしたたか飲ませ、人助けだからと頼むと、なんとか殺すことに同意した。 ヤギの泣き声が止まった時、うわさが出る。 誰が殺したのか? たぶん殺し屋ナンバーワン男はアイツだろう・・ 田舎暮らし、意外と見落としがちなのは、ベッドによるトラブルだ。 去勢する動物病院が、田舎や島にはない場合が多い。 犬を飼っている家があるが、やはりオスやメスだけでは、問題が出る。 発情期はかなり凶暴で、誰それが噛まれ、誰それが、噛まれる直前まで行ったという話を聞く。 観光客には子供連れもいる。子供がそのような犬に噛まれ病院、旅行変更ダイナシで賠償問題にまでなる事を考えるとゾッとする。 また去勢しているからとて周りには去勢していない野良動物がおり、トラブルもある。 田舎暮らしを計画している人が居たら、厳重な注意が必要だ。 殺し屋は、そう簡単には見つからないぞ!

f1185 悲恋

育造爺ジイーは、大阪の漬物工場で、長い間働いていたが、ふらりと一人で、生まれ島へ戻って来た。 結婚はしたことがあるのか、子供は居なかったのか、誰にも過去の話はしない、と言う。 機嫌良さそうな顔で、どうやって手に入れたのか、泡盛の二合ビンを1本持って、ひかる、今日はオレのおごりだ!、といって、ふらりと入ってきた。 楽しいことがあったのか、いつもより、水の量が少なく、ほとんどストレートで、1本飲んでしまった。 「育造爺ジイー、この歳で一人は惨めだよ、女はいなかったのか、どこぞで子供は居ないのか」と聞くと、小さな目で睨み付けた後、どういうわけかポツリと、過去の話をした。 漬物工場の近くにある、町内の縫製工場に努める、可愛い子で、名前は良枝という。 良枝は母思いで、いつもセーターやマフラーを編んで、秋田の母に送っていたという。 二人は、一緒になる約束をしていたそうだ。 そのうち良枝の母の具合が悪いということで、秋田へ帰ったとのこと。 育造爺ジイーは、世帯を持つため、一生懸命働きに働いたが、そのうち島の自分の母が具合が悪いということで、呼び戻されたそうだ。 昔のことだ。今みたいに、飛行機が使えるわけでもない。一度果ての島へ帰ったら、2度と本土へ行くということは、大変なことだ。 世帯を持つと約束した二人の関係はあまりにも遠く離れ、以後ぷっつり途絶えたと言う。 育造爺ジイーは、下手ながら、夜な夜な三味線をつまびく。 そして歌うのは、かごの鳥である。 良枝とのことは、誰にも話したことがない。初めて打ち明けたのだろう。 話の途中から、もうおいおい泣き出して、涙が止まらない。 80歳になった今でも良枝のことが忘れられず、夜な夜な、かごの鳥を歌う。 会いに 来たのに?なぜ出て会わぬ・・ 僕の?呼ぶ声?聞こえぬか・・ 今宵また、南の小さな島の空に、かごの鳥が響く。 声の限り、途切れ途切れに叫ぶ、がごの鳥の歌は、物悲しー そしてまた明日は港へ行き、若い娘を見つけては「どこから来たねー」、と探し求める。 もう良枝は、こんな若さではないだろうに、育造爺ジイーには、色が白くて、髪の毛を束ねていた、若い時の良枝の面影で、いっぱいだ。 そして、良枝が編んでくれたという、セーターを、今でも大事に、大事にしている。 育造爺ジイーは、もう長くはないだろう。せめてひと目、秋田にいるという、良枝にあわせてやりたい。 良枝、一度でいいから、いや生きているなら、声だけでもいい。 命の限り、あなたを待ち続ける、育造爺ジイーは、かわいそうだ。 育造爺ジイーの声が聞こえるか。 会いたさ、見たさーに、怖さを忘れ・・ 会いに 来たの?に なぜ出て会わぬ・・ 僕の?呼ぶ声 聞こえーぬか・・ 搾り出すかすれ声は潮騒に沁みていく・・・

f1179 地獄耳

パーティーから数日後、港で会ったので声をかけた。 先日、群馬からお父さんが来たんだって、と聞くと。 え! ええ!!、誰から!、誰から聞いたの、私お父さんが島に来た事誰にも言ってないのに、とびっくりしていた。 おじさん、地獄耳だから何でも知ってるよ、というと観念したのか、皆さん島の良い人に出会えた事、一生忘れないよと、笑顔で答えていた。 真美ちゃんのお父さん、本当に心配で仕事を休んで、高い飛行機代出して、様子を見に来たんだぞ。 もっとお父さんに、甘えた方がいいよ、というと、ニ週間後に島を離れるけど島の事、一生忘れないから、と明るい笑顔だった。 群馬へ帰ったら、お見合いをし、いい人見付けな、というとコックリうなずき、私必ずいい人見付けて、もう一度島へ来るからと自信に溢れた少女の笑顔が返ってきた。 この島は、見事なハートの形をしている。何故かこの島に滞在すると、心が落ち着き癒されるという。 真っ赤に燃えた真美のハート、きっといい人が見つかるであろう。 南の島の夜、雲一つない晴天、まれに見る星空の美しい夜の出来事。 民宿の庭で、観光客14、5人と輪になって酒を飲んでいると、年の頃30歳を越したばかりと思われる女性の二人連れがいた。 綺麗な星空を海岸で見て来る、と二人は出かけた。 しばらくして、綺麗な星空が見れてよかったと帰ってきた。 流れ星見えた、と聞くと、すごい大きな流れ星が何個も見えた、との事だ。 年頃の女性なので、さぞかし流れ星にロマンチックな想いを寄せたのでは、と尋ねると「勿論、お願い事したわよ」 何をお願いしたのと聞くと、勿論お金よ、と即座に言ってのけ、隣の子もうなずいていた。 「おじさん知らないの、流れ星に、金、金を5回連発出来ると、金持ちになれるのよ」・・・・ 今の若者の考え方には、夢もロマンもへったくれもないか。 しばらく飲んでいたが、また今度は、別の方向で星を見に行くという。 姉御役と思われる一人が、どうも自信がない。 こんどこそ間違いなく、金、金を5連発してやると、立ち上がって行った。 こら! この若さで、まだまだ人生を開き直る事ないだろ、といったがどうも耳に入らないようだ。 スレた様子からみて、この二人の女性は、再度星を見に行くと言って、周りの男の子が一緒に追いて来るのではないかと、誘いをかけしているように見えたが、男は誰一人として追いて行かなかった。 男どもよ! 間違ってもこのような女性に捕まるな。 まかり間違って捕まると、なんで私が貧乏な人生を続けなければならないんだ、と言い続けられる。 結婚しない女性が増えているというが、原因の根本は結婚に対する金の比重が、以前とは格段に違うようだ。 このような世代に生まれなくて幸せだった・・

f1183 悲痛な声

前にも増して泣き方が、懇願するようなもの悲しさと悲痛な声で泣いている。 再度育造爺ジイーの所へ行くと、満面の笑顔で泡盛を舌なめずりで飲んでいる。 ジーが泡盛を飲むとケツに根が生え、びくとも動かず、泣き声などまったく耳に入らない。 頼んでも、頭の中は泡盛のことだけでまったく話にならない。 そして言い放った。 一晩くらいは、ヤギと添い寝しな、再度泣き出したら指を2本突っ込め、これを繰り返していると大丈夫だよ! やぎの糞の中で寝るのか!、バカバカしいと高山夫婦は、腹に据えかね帰った。 今度は、ひかるの所へ相談に来た。 あまりにも島暮らしのルールを知らない。 バカバカしい相談なので、この問題を解決できれば、間違いなくノーベル賞はもらえる、夫婦で本気になって考えな! ヤギの糞がいやなら、自分のベットへお招きしろ、と言ってやった。 夫婦は周りに、島人は自分たちの悩みを本気に相談にのってくれない、自分建ちは、移住者としてよそ者扱いされていると、愚痴をこぼしたそうだ。 あんたら馬鹿か!。 そんな下らないことで島の人たちと諍いを超すようだったら、この先が思いやられる。 横浜へ帰って、週刊誌ネタで、井戸端会議をしていろ! 帰ったほうがましだぞ・・・! 高山夫妻のところの、二匹目のヤギがとうとう発情してしまった。 メスヤギの鳴き声は、ますますひどく、1週間おきに、2日間、昼夜を問わず泣き続けるという。 それに今度は、子ヤギが泣きはじめたのである。 高山夫人は、とうとう完全なるノイローゼ状態だ。 今度こそはと、わらにもすがる思いで、育造爺ジイーのところへ相談に行くと、「水をかければいいさー」という。

f1182 郵便配達

見晴らしのいい観光休憩所でのんびりしていると、赤い郵便局のバイクが来、顔なじみの配達員が、兄さん、東京から手紙だよ!、と配達してくれた。 東京なら郵便受けへポンで終わりだが、島らしい。 なぜ俺がここに居る事が分かった、と聞くと、民宿で聞いた、との事。 そうだ、民宿の親父は、立ち寄らなくても、厨房で仕事中でも、バイクの音を聞き分けることが出来る。 10分前に、こっちの方へ行ったから、と教えてくれたそうだ。 他にもバイクは走っているが、音が違うし、時間帯により誰が通ったか、見なくても分かる。 島はのどかでいい所だ。 最近、石垣島より若い娘達が日帰りでワンサと訪れれる。 港でカニウマを借り、島内一周して必ず立ち寄るのが、赤いポストの郵便局だ。 そう、この南のハート島のポストに想いを投函すると成就する、と言われ、押し寄せるのである。 ワーリトーリ(歓迎)黒島へ! 島に、横浜から移住してきた、50代の高山夫婦がいる。 子供はなく、二人きりの生活で、大きな番犬を飼っている。 それにペットとして、メスのヤギを二匹、飼いだした。 大きい方のヤギが、ここのところやたらめったら泣く、それも、一昼夜メーメー泣き続けるのである。 泣き止むかと思うと、2週間もすると、また夜通し泣き続ける。夜中2時3時であれ関係なく、不眠不休で泣き続けるのだ。 島の人に聞くと、それは発情だろうとのことだ。 さて、困ったことに、オスのヤギがいない。 とうとう3回目も泣き出し、隣近所に対しても迷惑だし夜も眠れない。 そのうち二匹目も泣き出したら、やっとの思いで移住したのに、島にはいられない。 高山夫婦は、困りはててしまった。 育造爺ジイーなら、島のことは知っているし、頼んでみようということになった。 ジイーは、しばらく人から頼まれ事も無いので、即座にOKだ。 ヤギ小屋へ行くと、荒々しくメスヤギを横倒し、な、ななんと、指をメスヤギの熟れたあそこへ突っ込んだのである。 メスヤギは、いきなり抑え込まれ,眼をパチパチ、オジさん何すんのよ!と言っているのか、唇ムニャムニャ、あまりにも速い動作に、あっけにとられた顔だ。 そうすると、どういう訳か泣きやんでしまったのである。 高山夫婦は大いに感謝、感激。大事に取ってあった泡盛の古酒と、夜のおかず用に用意してあった刺身を育造爺ジイーに渡した。 育造爺ジイーは、得意満面、「何かあったらいつでも相談に乗るさー」と意気揚々と帰っていった。 ところがところがだ。 2時間もすると、またメーメー泣き出したのである。

f1175 豊年際

黒島には、かなり古くから伝わる、豊年際の、ハーリー競争がある。 ハーリー競争は、中国や沖縄本島、石垣島や周りでも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。 船を漕ぐ競争だけでなく、ウーニーと呼ばれる、走り手、その競争が、かなりメインの役割をする。 写真は、ウーニーの姿で、ふんどしの部分は、肝心なところをやっと覆いつくすばかりで、ケツの方は、ぐるぐる巻きに束ねる。 割れ目に食い込み、下半身がむき出しの状態だ。 勿論、上半身もごらんの通り軽装で、このウーニーに選ばれることは、走りが早く、非常に名誉な事である。 最大の人気者だ。 ウーニーは、強い脛の意味で、健脚という事。そこにも英語が相通じる方言が、見え隠れする。 ウーニーは、村長から杯をいただき、腰くらい迄の所に待っている船に、砂浜、浅瀬を走り、飛び乗る。 そして船をこぎ、沖合にある旗をとって、Uターンする。 帰りは船にスピードが付いている為、深さ胸元くらいの所で、ウーニーは飛び降り、両手で水をかきながら、浅瀬、砂浜、そして、村長の所へ来て、タッチする。早い方が勝ちだという訳だ。 そういう意味では、ただ陸上で走りが早いだけではない。 水中をうまく、走るテクニック、方法が重要である。 また舳先に、ピーゾーと呼ばれる、棒高跳びの竿に匹敵する、竹のさおを付いて、漕ぎ手と、トウージーと呼ばれる、かじ取りと連携する。 返しの場合、ウーニーが、船からとび降りる合図をかじ取りが出す。 舳先のピーゾーと、かじ取りが強引に船を方向転換しないと、ウーニーは、船の下敷になる。 そのタイミングが、危険極まりない状態だが、その為に、漕ぎ手に指示を出し、ピーゾーに指示を出す。 飛び降りる瞬間をウーニーへ指示するのが、トウージーと呼ばれる、かじ取りの重要な役目だ。 また、Uターンをする時、旗を船に取り込まなければ、失格である。 かなりスピードが出ている船で、旗を取れる状態で、Uターンさせる。 50センチでも離れれば、旗が取り込めない。 そこが、トウジーの1番重要な役目だ。 前回、トウージーとトウジ(妻)の話をしたが、その辺に繋がりがあるようだ。 このウーニーハーリーの方式は、他には無く、日本国内ではこの黒島にしかない。 中国のハーリーにもない、なんでこの島にしかないのだろうか? この島は、かなり古くから他には影響されない、独自の文化があったのではないかと、推測する原点である。 昔から南の島に伝わる、このウーニー、トライアスロンの原点ではないだろうか。

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天空橋