2025年7月23日水曜日

1091 珊瑚の産卵


美しく咲き乱れるサンゴ群、実は厳しい条件で、生き延びているのです。

サンゴの育成には、年間18度以上の海水温度と、ある程度の塩分濃度、透明度が高く、太陽光が届く条件が必要です。

しかし日本の最南端、八重山地区は、地球の母なる大河、黒潮が満たしてくれます。

また、このサンゴは、紛れもなく、口も胃もある、れっきとした動物だとの事ですが、自然界に同じ形は二つとなく、段々花畑のように作られたサンゴ郡の景色を眺めるとき、人間の作り上げた日本庭園や町並み等、比較に値しない事が、歴然と感じられます。

植物の光合成は当然ですが、サンゴは、動物でありながらも光合成をする為、太陽を食べる動物。太陽の子、と呼ばれています。

光合成の結果、カルシウムの結晶で、骨格を形成して行くとの事ですが、実は年に一度、産卵をします。

普段はザラザラとした感触のサンゴが、ある時期になると、ぬるぬる状になり、臨月を迎えます。

8月初旬、満月の夜は、サンゴの産卵日でした。

物音一つしない不気味な海底、陣痛が始まり、見渡す限りのサンゴから、数千億にも及ぶ、朱色の卵が、雪が舞う如く、一斉に放卵。ゆっくり浮上する、命の舞。

動物の誕生に、これ程神秘的な世界があったのだろうか、と感動させられます。

地上の万物は、引力の影響を受けざるを得ません。

生まれたばかりの小さな命、どうやって、引力を振り切り、浮上するのだろうか。

そして、サンゴの群生する、水面2メートル前後の水温は、対流となり、横からの緩やかな潮流と交差し、縞状水温を形成。

優しく体を舐め、放卵された、無数の卵が、潮の流れになびく時、ふっと、水中に吹く風を感じさせてくれます。

暖かい南海で水着のまま感じる吹雪、生涯一度体感するのもいいのでは・・

生まれたばかりの小さな命は、浮上と同時に大空へ産声を上げ、さざ波のゆり籠に揺られての、旅立ち。

漂う卵は、殆んどが、魚の餌食になる中、万分の一個が、別な場所に辿り着き、そこを生涯の棲家とし、立派なサンゴへと成長して行く。


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