この島で、妙な貝が、大量に出土した。
巻貝ではあるが大きさがサザエの数倍あり、ホラガイとはまた違う、形そのものはサザエの化け物のようだ。
ところがその貝には、どうしても人工的としか思えない穴が一つ写真の如くあいている。
この貝は光男が子供の頃、70年前には一度も見たことがない。
古老に聞くと、自分もその貝を見たことも食したこともないという。
しかし大量に出土したということは、100年いや200年前、この貝はこの島の周りに大量にいたと思われる。
シャコガイと同じぐらいの出土量があるから、かなり生息していたと思われる。
シャコガイは70年前、足の踏み場もないくらいリーフの上にはいたが、この貝だけは誰も見たことがない。
疑問は、人工的に開けられたと思われる穴だ。
穴のことを古老に聞くと、話には聞いたことがある。
貝に穴をあけ、石に結わえつけ、海中に放牧していたという。
目の前は太平洋、魚介類はいくらでも採れるのに恐るべし、いにしえのこの島人は蓄養方式を採用していたのだ。
小さな貝はなくほとんど大きさが統一されている。
昔は電気や冷蔵庫もなかったので、祝い事や大事なお客をもてなすとき、蓄養していた貝を取り、目の前で新鮮な料理でもてなしたという。
なるほどと感心した。
いにしえの島の人たちは、海で貝を蓄養し必要な時に必要な量、新鮮な料理をし心豊かに味わっていたのだな。
私も閃いた。
今度はシャコガイにドリルで穴をあけ、テグスで石に結わえ、必要な時だけ新鮮なシャコガイを食べよう。
南の島の夕陽を眺め、新鮮なシャコガイ、貝柱、泡盛を片手に至福の時間だ。
調べたらこの貝は学名、ヤコウガイで、太古の昔中国王朝の漆器などに使われ、とんでもない高価で取引されていたという。
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