2026年7月19日日曜日

155 北海道のおばちゃん

 

島の民宿では夕食後、泡盛がただで振る舞われる。

中庭の大きなテーブルで、星空を眺めながら、お互い自己紹介をし観光客は談笑。

ふらりとその輪の中へ入っていくと、島の人だという事で話を聞きたく、周りに集まってくる。

北海道から来たという、60歳過ぎのおばちゃんが、早速、隣へ割り込んできた。

きれいな星空、空気がおいしい、生まれて初めての体験だと、かなりハイになっている。

こんな素晴らしい島で生活出来たらいい。なんとか移住したいので、土地を譲ってくれる人はいないか、との相談だ。

出来ない事はないと言うと積極的に色々な質問をしてきた。

話の内容から、かなり融通の利かない教員か公務員上がりのガチガチな堅物の類、箱入り娘のばーさんタイプ。

こんな人に土地を分ければ、住民と間違いなく争いを起こす。

島の人たちはテーゲーグヮーで、いい加減と言うかあまり小さな事にはこだわらず、のんびり生活をしている。

島人と争いを起こし、後々嫌な思いをするので、この人の相談にだけは乗らないようにしようと心に決めた。

その内、ひょんな質問をしてきた。

この島に、クモはいるのですか?

はぁ~と思わず聞き返す。

クモはいっぱいいるし、毒は持ってないが森へ行くと大きなやつもいるよ、と言うと、ギヤアーと血相変えた。

クモは嫌いどころか糸が体に触れただけで蕁麻疹ができるという。

民宿のベランダでも糸を張っているし、島を散策すると間違いなく糸に触れるよ、と言うと顔面蒼白。

わざと嫌がることを言って脅かしているのではないかと、毛嫌いするというか嫌悪感あらわに睨み付けている。

芯からクモが嫌いで、アレルギーのようだ。

隣にいるのも嫌になっただろうか、席を移していった。

その話を聞いていた他の観光客が、そのおばちゃんを説得。

日本全国クモのいない所はない。

あなたは、まかり間違っても田舎暮らしなど、考えないほうがいいと言われ、渋々納得したようだ。

このおばちゃん、島で連泊するつもりだったらしいが、翌日、早々に引き払ったという。

次は西表島観光だと言っていた。

あの島は、毒はないが、大きなクモがもっといっぱいいる。

大きなクモが首に貼り付き、泡を吹き吹き失神する姿、目に浮かぶわ。

その人は北海道だと言う。

おーい北海道~  

クモはいないか。


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