2026年7月24日金曜日

159 帰郷病

 

東京の放送局キー局に沖縄出身者は私一人しかいなかった。

どこで聞きつけたのか、沖縄の若者がキー局で番組制作したいけど、どうしたら良いかという相談、いわゆる就職相談が結構あった。

私の知人に、

人格良好な素晴らしい男がいたので、技術プロダクションを作らせ、毎月一定量の仕事を出し、バックアップ体制をとっていた会社が数社あったので、一人の沖縄出身者、Y君を紹介した。

社長は貴方の紹介ならば、と即座に採用が決まった。

Y君の仕事ぶりの評判もよく、そろそろレギュラー番組を持たせてもいいかなと、思っていた矢先、社長からの電話。

Y君が仕事を辞め、親の面倒を見るため田舎へ帰る、というので説得して欲しいとのことだ。

親のこともあるかも知れないが、自分の年を考え仕事を優先することを薦める。

なかなか自分のやりたい仕事、簡単に手に入らないぞ、と説得をし、何とか思いとどまらせることができた。

Y君の評判も良かったので、そろそろチーフとして番組を仕切らせ、テロップで画面に名前が出れば責任感も出て、やる気も出すだろうと思っていた矢先、また社長から電話だ。

また帰郷病が出たという。

今度は何度説得しても田舎へ帰るの一点張りだ。

仕事はどうするのと聞くと、タクシーでも何でもかまわないという。

何で仕事を紹介してしまったのか、と後悔。

とうとう沖縄へ帰ってしまった。

更に数年後、上京し社長に仕事をさせて欲しいと頼み込んだという。

呆れ果て、世の中甘く見るんじゃないぞ、と言いたくなったが、勝手にしろ、と言ってやった。

今どきの若者の中には、郷愁に抗えない特有の葛藤があるようで、世代の違いというのか私には理解できないことでした。


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