2026年7月28日火曜日

168 子孫

 

投資した金は半分に減ってしまったのである。

それからというのは、親からもらった財産を半分に減らした分を、なんとか元に戻すと、更にお金に対する執着、そして呪縛は、日を増すにつれ、膨らんで行った。

とうとう60を過ぎても結婚出来なかったのである。

それでもまだ五億くらいの金は背負っていたので、もうお金の事は諦めろ。

老後を楽しく過ごそう、と言ったが全く聞く耳を持たない。

母親も亡くなり、これから先、自分が死んだらこの財産、どうなるのだろうかと不安がっている。

また若い時、金に任せ女遊びと酒を飲んで肝臓まで患ってしまい、不安な毎日を過ごしているそうだ。

ちなみに、渋谷で億ションを買って遊び呆けていた

姪御たち、中山家の人たちは誰一人として子供が出来なかったそうだ。

金に狂った一族だと言わざるを得ない。

私はアパートを転々とし、引っ越し貧乏を繰り返していた。

仕事が忙しく、徹夜の連続か午前様で、朝は子供たちが目覚める前に出社する。

子供たちが父親を怖がり近寄らない状態。

あまりの貧乏さに、ある時女房が怒鳴りつけた。

貯金が4万円しかない、これからどうやって生活する!

どうせこれからも母子家庭に間違いない。

あなたなどいない方がいい、出て行け! と怒鳴ったのである。

あなたなら貧乏王国へ行けば即大統領になれる、素晴らしい人だ。

もうこんな生活はイヤだ!

それで私は、コツコツと働きに働き続けた。

子供たちにも、祖父母の存在は必要だろうと考え、女房の実家とも丁重に頭を下げ、和解した。

女房の実家側からすれば、最初に沖縄という、想像出来ない所の人間で、まず拒否感が出たのであろう。

それなりに家庭を守り、またテレビ業界での仕事ぶりは、大きな評価を得る。

塩を撒き付けたはずの男が、何時の間にか神棚に上げられるような大変な信頼ぶりである。


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169 献杯

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