2026年9月27日日曜日

182 郵便配達

 

見晴らしのいい観光休憩所でのんびりしていると、赤い郵便局のバイクが来て、顔なじみの配達員が「兄さん、東京から手紙だよ」と配達してくれた。

東京なら郵便受けへポンで終わりだが、島らしい。

なぜ私がここに居ることが分かったのかと聞くと、民宿で聞いたとのこと。

そうだ、民宿の親父は立ち寄らなくても、厨房で仕事中でも、バイクの音を聞き分けることが出来る。

10分前に、こっちの方へ行ったから、と教えてくれたそうだ。

他にもバイクは走っているが音が違うし、時間帯により誰が通ったか見なくても分かる、のどかな島だ。

最近、石垣島より若い娘達が日帰りでワンサカと訪れる。

港でレンタサイクルを借り、島内一周して必ず立ち寄るのが、赤いポストの郵便局だ。

そう、この南のハート島のポストに想いを投函すると成就すると言われ、押し寄せるのである。

ワーリトーリ(歓迎)黒島へ。

島に、横浜から移住してきた、50代の高山夫婦がいる。

のどかな島だが、移住者にとっては困りごともある。

子供はなく、二人きりの生活で、大きな番犬を飼っている。

それにペットとして、メスのヤギを2匹、飼いだした。

大きい方のヤギが、ここのところやたらめったら鳴く、それも一昼夜メーメー鳴き続けるのである。

鳴き止むかと思うと、2週間もするとまた夜通し鳴き続ける。

夜中2時3時であれ関係なく、不眠不休で鳴き続けるのだ。

島の人に聞くと、それは発情だろうとのことだ。

さて困ったことに、オスのヤギがいない。

とうとう3回目も鳴き出し、隣近所に対しても迷惑だし夜も眠れない。

そのうち2匹目も鳴き出したら、やっとの思いで移住したのに、島にはいられない。

高山夫婦は困り果ててしまった。

育蔵じいなら、島のことは知っているし、頼んでみようということになった。

じいは、しばらく人から頼まれ事もないので、即座に引き受けた。

ヤギ小屋へ行くと、荒々しくメスヤギを横倒し、な、ななんと、指をメスヤギの秘部へ突っ込む、じいさんなりの荒っぽいおまじない。

メスヤギはいきなり抑え込まれ、目をパチパチ、じいさん何すんのよ、と言っているのか唇ムニャムニャ、あまりにも速い動作に、あっけにとられた顔だ。

すると、どういう訳か鳴き止んでしまったのである。

高山夫婦は大いに感謝、感激。

大事に取ってあった泡盛の古酒と、夜のおかず用に用意してあった刺身を育蔵じいさんに渡した。

育蔵じいさんは得意満面、「何かあったらいつでも相談に乗るさー」と意気揚々と帰っていった。

ところがところがだ。

2時間もすると、またメーメー鳴き出し、結局ダメだった。


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