2025年8月3日日曜日

 1170 垂れ垂れオッパイ

 

島のじいさんと飲んでいたら、今の女のオッパイは、成っていない、あの格好は何んだ、と怒っている。

猥談でも始まるのかと思うと、真面目な話のようだ。

昔の女は、オッパイを長く長く伸ばす訓練をしていたんだぞ。

子供を背負い、オッパイを欲しがったら肩へちょこんと乗っけ、子供にオッパイを飲ます。

その間、手仕事が出来る。いちいち抱いていたら、乳を飲ませる時間が無駄になる、乳の垂れ具合で、働き者のいい嫁か、決まったと言う。

おかしな話もあるもんだと、聞いていると、隣に60代のおばちゃんがいて、この話は本当かも知れない。

亡くなった母は、本当にオッパイが垂れ下がって、肩にのっけられるくらいの長さだったという。

そう言われてみると、この話本当なのかなー?

アフリカの原住民の女性のオッパイがかなり垂れ下がっているが、もしかして、この話のとおり延ばし延ばしたのかな。

ある日、90を過ぎたおばあちゃんに、どうしたらオッパイを長々と延ばせるのか、と聞いてみた。

そのばあちゃんは、にっこり笑って、「あんた! 私に惚れたね! 久しく絶えていたが、今夜はいいよ!」とにじり寄って来た。

おい!、ばあちゃん勘違いするなよ!

90を過ぎ、三途の川へ片足つっこんだ、ばあちゃんに乗ったら、オレはギネスブックに載るよ。

最中に、いく~、いく~、と逝かれたらブタバコ行きだ!

くわばら・・くわばら・・

とりあえず、快楽どころか、葬式の事が頭をかすめ、逃げ帰って来た。

2025年8月2日土曜日

1169 献杯


女房一族のドンが亡くなった時、献杯の音頭は、ひかるしかいないと、音頭を取らされる信頼、急変ぶりである。

勿論、ひかるは必死に働きマイホームを構えていたが、女房の親が年を取り、足元もおぼつなかったので、親の面倒は子供が見るべし、と嫌がる女房を説得し、同居に踏み切っていたのである。

塩を撒いたはずの男が、今や心から信頼出来る婿として同居する。

安心した親は、都心の一等地と建物を遺言で女房に譲って、あの世へ旅立って行ったのである。

ひかるは常々女房に言っていた。

お金は、生きる為の道具、幸せに成る為の小道具に過ぎない。

金の亡者となり、金の奴隷と化すべきではない。

貧しくても、心豊かに、優雅に生きられる方法がある、と言って、つつましく生きて来たのである。

女房も財産が転がり込んだからとて、ブランド品を買いあさる訳ではなし、孫たちの成長をいつくしみ、楽しんでいる。

孫はかわいい、ジジ、ババとマクドナルドへ行くのが、一番の楽しみのようで、ハンバーグをほおばる横顔を見ていると、毎日が楽しい。

一緒に風呂に入り、ジジ、ババの買ってくれたパジャマだ、と言ってウルトラマンのパジャマを着、ウルトラマンのパンツを着て、フトンへ潜り込んでくる。

スヤスヤ寝息を立てる横顔を見ると、幸せの極地である。

片や学は、昼間は掃除、炊事洗濯など、お手伝いにやってもらえるかも知れないが、夜は一人でチクチク痛む肝臓をさすり、不安な日々。

寝ても覚めても頭の中は、札束が飛び交っている。

布団に入って、横に寝るのは猫だ。

夢枕には、金の延べ棒で出来た階段を、一歩一歩上がっているだろう。

一歩一歩、あの世へ近ずいているんだぞ!!

これから先、この男の頭は正常化するのだろうか。

少子化の影響なのか、親の遺産を当てに、フリーターを誇らしげに自慢する人に出会う。

冒頭に出会った、文京区の青年は、最たるもので、ひかるから見ると、己の人生を無駄にする、許せない輩で、怒り心頭だ。

おい! めん玉ひんむいて、よく見ろ!

土手の川風を涼やかに受け、夫婦が孫二人と手をとり、心豊かに優雅に散策している。

対岸には、男がリュックサックに札束を詰め、周りをキョロキョロ警戒しながら歩いている。

後からは、悪しからぬ輩がなんとかリュックサックの中身を、少しでも掠め取りたいと見え隠れして狙っている。

しかし男は屈強な恐ろしい犬、三匹に引っ張られ、一生懸命犬の糞を処理している。

貴方は、この二つの姿を見、どの道を選ぶのか、本気で考えて見ろ!

貴方の鼓動、今の一鼓は、もう後戻りしない。

のんびりしている場合ではない。

貴方は今、一刻一刻、白髪、シワ、禿げの世界へ、一歩一歩近づいているんだぞ!

もう一度、めん玉ひんむいて、土手を見ろ!

そして、胸に手を当て、己の鼓動と、冷静に会話しろ!

まさかお前の両親は、お前を犬の糞拾いにこの世へ誕生させた訳ではあるまい。

 人生の 喜怒哀楽に ロマンあり

 若者よ 思い残すな 明日は華

 貴方には 誰にも盗られない 知恵がある

 貴方には 誰にも止められない 鼓動がある

 これしかない!

 己の人生ドラ マロマンを持て!

 そして

 命を張れ!

 命を張れ!

 1168 子孫

 

投資した金は半分に減ってしまったのである。

それからというのは、親からもらった財産を半分に減らした分を、なんとか元に戻すと、更にお金に対する執着、そして呪縛は、日を増すにつれ、膨らんで行った。

とうとう60を過ぎても結婚出来なかったのである。

それでもまだ五億くらいの金は背負っていたので、もうお金の事は諦めろ。

老後を楽しく過ごそう、と言ったが全く聞く耳を持たない。

母親も亡くなり、これから先、自分が死んだらこの財産、どうなるのだろうかと不安がっている。

また若い時、金に任せ女遊びと酒を飲んで肝臓まで患ってしまい、不安な毎日を過ごしているそうだ。

ちなみに、渋谷で億ションを買って遊び呆けていた姪ご達、中山家の人達は誰一人として子供が出来かったそうだ。

金に狂った一族だと言わざるを得ない。

ひかるはアパートを転々とし、引っ越し貧乏を繰り返していた。

仕事が忙しく、徹夜の連続か午前様で、朝は子供達が目覚める前に、出社する。

子供達が、父親を怖がり近寄らない状態。

あまりの貧乏さに、ある時女房が怒鳴りつけた。

貯金が4万円しかない、これからどーやって生活する!

どうせこれからも母子家庭に間違いない。

貴方等いない方がいい、出て行け! と怒鳴ったのである。

貴方等、貧乏王国へ行けば即大統領になれる、素晴らしい人だ。

もうこんな生活はイヤだ!

それでもひかるは、コツコツと働きに働き続けた。

子供達にも、祖父母の存在は必要だろうと考え、女房の実家とも丁重に頭を下げ、和解した。

女房の実家側からすれば、最初に沖縄という、想像出来ない所の人間で、まず拒否感が出たのであろう。

それなりに家庭を守り、またテレビ業界での仕事ぶりは、大きな評価を得て、塩を撒き付けたはずの男が、何時の間にか神棚に上げられるような大変な信頼ぶりである。


1167 新婚生活

 

ひかるの新婚生活、女房の実家に猛反対され、それこそ三畳一間、電化製品ひとつない、貧乏どん底からのスタート。

木造で、廊下は歩くとミシミシ音がし、トイレはポットン便所の安アパート、夫婦で共働き、やっと家賃が払えるという生活。

東京で家賃が一番安いアパート。当時アパートには沖縄出身者の入居お断り看板が出ていた。

沖縄名字のひかるは当然パスポート保持者。

ひかるはテレビの世界で仕事をしていたが、当時は白黒放送で、給料など一般の企業の社員に比べられない、どん底生活であった。

ボーナスが入ったら洗濯機を買おう、その次は冷蔵庫、テレビと夫婦で夢を描き、必死で働いていた折、学が自由が丘に五階建ての賃貸しマンションを建てたので、管理人をしてくれないか、との話。家賃は無しとの話だったので、これ幸い飛びついた。

ただほど高くつくものは無い。この管理人の仕事、とんでもない結果を生む事になる。

当時マンションという言葉は、聞き慣れない言葉で、走りだったのである。

家賃も高かったので、入居者はハイクラスの人ばかり。有名な銀座の老舗ビルの息子夫婦だとか、新宿の高級クラブのママさんだとか、自他共に金持ちと認じる人ばかりである。

そういう人達から見ると、明らかに若くて、家賃の出ないマンションの管理人をやってる人間なんぞ、見下げた貧乏人に見えたのだろう。

隣人同士のいざこざ、上下階のいざこざ、トイレが詰まっても管理人の責任だとか、やたらめったら無理難題を押し付けて来る。

下の階からの焼き肉の匂いを、あれは我が家に対するあてつけだ。なんとかしろ、と言ってくる。

とうとう女房が、初めての子を流産してしまった。住人は流産した事を知っているが、優しい言葉をかける訳でもない。

貧乏人など子供を作る資格がない、と言わんばかりに輪をかけて自分たちの争い事を管理人に押し付けてくる。

金持ちなら、心豊かに周りに温かい目、優しい言葉がかけられるものだと思ったが全く逆だ。

金持ちは、人間としての情が金に奪われてしまうものだ、としみじみ感じた。

その後、妊娠をしたので出る決心をし安アパート生活に戻った。

数年後、学が35歳になった頃、母親から嫁探し、お見合いの相手を見つけて欲しいと頼まれた。

友人の為と思い、あちこちに声をかけ、二度も見合いをさせたが成立しなかった。

相手はなんの非の打ちどころもない。素晴らしい女性で、成立しないという事はおかしい。

本人を捕まえ、とことん本音を聞いてみるとびっくりした。

女は自分の背負っている金、財産が目当てだ。

そんな女に子供が出来、子供にまで財産を持っていかれるかと思うと、どうしても決断が出来ないという。

お金の亡者、呪縛に縛られた人間の頭の中というのは、そういうものか、と呆れ果ててしまった。

以後、ひかるは二度とお見合いの段取りはしかかった。

周りの友人も、同じ経験をしているから、誰一人として学に結婚を進める人はもういなくなった。

学はゴルフが好きで、金に任せゴルフ場の会員権を北海道から九州迄くまなく買いあさっていた。

先行投資で、いずれ倍、倍になると自慢していた。

事実、ある程度倍くらいにまでなったようだが、しかしバブルがはじけてしまった。

2025年7月19日土曜日

1074 恋

 

毎日が、ひもじい思いをし、泥棒走りをしていた二十歳。

この世にこれ以上いないかと思われる、美しい女性に、バイト先で出会いました。

声をかけるにも気が小さく、沖縄生まれだと言う、多少の劣等感もあり、ひたすら胸をときめかすのみ。

ある日、まさかと思われる、一大事発生。

その女性が、食欲がないので、自分のお弁当を食べて欲しい、と持って来たのです。

鮭と卵焼きだけのお弁当でしたが、まさかと思われる、好きな女性。

手作りの弁当かと思うと、美味しいの、どうのと言っている場合ではありません。

そして、彼女が目の前で見ているのです。

全身パニック!

世の中バラ色、生まれて最高に甘い食べ物に出会いました。

このままずーっといつまでも一緒にいたい・・・

弁当の味が忘れられず、恋が芽生え、一気に炎と燃え出し、この女性なしに人生はあり得ないと思うようになったのです。

男の恋、一度燃え出したら、止めようがありません。

体を張っての獲得作戦へと展開。

しかし相手は、生まれも育ちも東京両国で、垢ぬけた生粋の江戸っ子。

田舎っぺの取れない三度笠の似合う男には、とても無理かと思われましたが、「命に賭けても、幸せにしてみせる、この気持ちは世界中を探しても、私以上の男はいないはずだ!」 

結婚してくれと、猛うアタック!

一途な気持ちが伝わり、結婚に同意してくれたのです。

やったー!!、

男の情熱、何事か成らざらん!!

天の神、山の神、地の神、海の神、地上の全ての神々を招待し、どんちゃん騒ぎをしたくなったのも当然。

あまりの嬉しさに、気が狂ってしまうのではないか、と自分自身がわからなくなりました。

しかし、暗転、これからが一大事件。

1073 食糧戦争

 

人類は間違いなく、100億に達しており、カラスとの食糧戦争は回避しがたい事でしょう。

都市部では、身近に感じられない事ですが、農村部や温暖な国では、すでにカラスとの食糧戦争が始まっています。

果たして、人類は勝てるのだろうか?

カラスは、人家に近い所に棲んでおり、核や化学兵器は使えず、戦車を出動させたとしても、一羽打ち落とされれば危険を察知し、戦車よりも早く、自由に空を飛び、山や川、海を越え、国境を破り、逃亡。

人類の一点攻撃型兵器は、通用しません。

例え、二、三万羽打ち落とされたとしても、毎年増える数からして、彼らにとっては平気な数。

もしひかるが、カラスの大統領に就任したならば、人類との食糧戦争は、大勝利を収める事でしょう。

一万羽単位で、カラスの編隊を組み、地球上の各ゴルフ場へ基地として集結させ、上空300メートルから、ホールを狙って、小石を落下させる訓練をします。

ゴルフボールは、訓練用に使う為、必然的にゴルフ場は、カラスの軍事基地と化し、手始めに、一万羽のカラスに、其々300グラムの小石を持たせ、猛スピードで走る、新幹線の線路へ一万個の小石を落下させ、波状攻撃。

新幹線は、小石の山に脱線し、多数の死傷者が出、世界的なニュースになる事でしょう。

滑走路や高速道路、至る所で、小石の攻撃を行う為、人間は恐怖のあまり、新幹線、飛行機、車を利用しなくなるでしょう。

線路の小石は拾って何回でも使用。

軍事開発費はいらず、即座に実行出来、路上の人や民家にも一万個単位で、小石の雨を降らせます。

屋根やガラスは割れ、ライフル銃で撃ち落とすにも、300メートル上空までは届かず、特に黒いカラスの夜襲は、効果覿面。

手が付けられません。

農家へは大事な食糧確保の為攻撃せず、人間をカラスの奴隷にするのです。

カラスを「烏合の衆」、と馬鹿にしていた人間共が、逆に、烏合の衆、と呼ばれる羽目になります。

カラスの大統領は、作戦本部を移動し、世界各地の戦況を悠々と視察旅行。

各国首脳は、連日の応戦会議で、精根尽き果てる事でしょう。

強力な軍事力で、地球の保安官を自認するアメリカ大統領が、茹で上がりのタコ顔で、目ん玉飛び出させ、「カラスの野郎!、ブッ殺してやる!」、と喚き散らす、じだんだ姿が目に浮かびます。

カラスの大統領は、カッカラカ、カッカラカ、と高笑い、見下げる事でしょう。

飛べない人間、国境、人種問題を抱える人間が、カラスに勝つ事は、容易ではありません。

カラスは、すでに貝類を上空より落下させて割り、中身を食べる戦術を習得済。

人間を共通の敵と認知した場合、高速道路を走る車に、小石を落下し、一台でも事故を起こさせ、殺せる事が分かると、全カラスに伝達され行動を開始。

カラスには国境がない為、国際的な問題解決策が必要。

国際会議の開催を提案します。

ヒッチコックの映画が、現実のものにならない事を切望しよう・・・

 今すぐに、開発しよう、カラスピル!


1072 カラスの大統領

 

カラスの行動を観察すると、見事な連携プレー、編隊行動をとっている事が、分かります。

ニワトリのヒナを狙う時、一羽は見張り役。

もう一羽は、ケンカを仕掛ける役。

残りの一羽は、ヒナを奪う役目で、三羽での連携プレー。

親鳥が、ケンカを仕掛けられ、一羽のカラスに向かって行き、ヒナ鳥は、親の泣き声、様子に、危険が迫った事を感じ、オロオロ逃げ回るだけ。

奪う役目のカラスは、空から急降下し、逃げ回るヒナ鳥を事もなげに持ち去ります。

この行動を三度繰り返す事により、平等にヒナを確保。

雑食性で、食欲旺盛なカラスに、殆んどの鳥類は、木の実や虫、卵やヒナ等をことごとく持って行かれ、その悪知恵には、とても追いて行けません。

小学生の頃、ひかるはカラスに弁当を取り上げられ、仕返しに卵を取ってやろうと、カラスの巣へ近付くと、何時どうやって呼び寄せたのか、数百羽のカラスが、上空に飛来し、編隊行動。

カラスは、巣を高い所に作る為、木の上で、本気に襲れたのでは、ひとたまりもありません。

事実、数十羽のカラスは、二メートル圏内に接近し、羽を広げて、黒い口ばしを目いっぱい開け、赤口での威嚇合唱。卵を取れば、即座に攻撃出来る臨戦態勢、恐怖を感じ逃げ帰りました。

何んで自分の卵でもないのに、他のカラスが集団攻撃行動に出るのか?

攻撃態勢のカラスは、血族なのか、それとも種族を守る為、安全保障条約を結んでいるのだろうか?

昨今、自然界の生態バランスが崩れ、人間が原因のように見られていますが、問題はカラスに有るのではないだろうか。

他の動物が減少する中、カラスには殆んど天敵がいない為、繁殖の一途です。東京の空も既に制覇され、神宮の森は、絶好の棲家として、他の鳥は、黒い軍団の恐怖に近付けません。

現在、地球上に、十億のカラスがいるとし、10年間で倍増すると、想定した場合、50年先には、320億の数に大繁殖。


 1175 豊年際

  黒島には、かなり古くから伝わる、豊年際の、ハーリー競争がある。 ハーリー競争は、中国や沖縄本島、石垣島や周りでも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。 船を漕ぐ競争だけでなく、ウーニーと呼ばれる、走り手、その競争が、かなりメインの役割をする。 写真は、ウーニ...