2026年4月26日日曜日

f1177 天空橋

まったく使われていないが、滑走路を思わせる訳の分からない、とてつもない長い桟橋がこの黒島には残っている。 周囲12キロ、海抜12メータ、平べったい島の規模からすると、昔の人のやる事は分からない。 昔の出来事、車や重機も無く、すべて人力。超大型台風となると、風は勿論半端でない波が打ち寄せるが、それにも耐え残っている。 島の古代人のエネルギーはエジプトのピラミットに負けないぞー 橋の先端で夜中、日本の南端、ハートの島、天の川を眺め彦星、織り姫に思いを走せ流れ星に願いをかける・・ 最高のデートスポットではないだろうか・・ ちなみに作曲家が見ていれば、この場所は明け方、干潮時、波の音も無く虫の音も無い。 勿論車やエアコン風の音等無く、完璧な無音状態が体験出来る場所でもある。 ギターを抱え訪れる大者アーティストがいるが島の人は知らないようだ。 源一じいさんは、夫婦で20頭程の牛を飼っている。 夏休みに高校生の孫を、島へ呼び寄せる事を一番の楽しみに、セリで牛が売れると少しずつ貯金をし、指折り数え待っているのだ。 昨年、じいさんは思いきって牛舎をトタン屋根で組み上げた。 完成した矢先、9月に30年ぶりと言われる超大型台風が島を直撃。 じいさんが組み上げたトタン屋根は、みごと飛んでしまった。 がっかりしたが気をとり直し、飛んでしまったトタン板をリヤカーを引っ張り、拾い集め、木のハンマーで叩き直し、再度組み上げたのである。 道なき原野をリヤカーで回り、トタンを集め作り上げた牛舎に、みんなが拍手喝采だ。 ところが一年経った今年9月、また昨年に続き、超大型台風が島を直撃。 源一じいさんの作り上げたトタン屋根は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。 じいさんは諦めない。再度リヤカーを引っ張り、トタン板を集め、また木のハンマーで叩く。 80歳の年寄りが一人で屋根に上り、ロープでトタンを釣り上げ組上げていく。 その執念には周りもびっくりした。 ところが、ところがである。 やっと組み上げた突端、10月6日にまたまた超大型台風が島を襲ったのである。 当然、あっという間にまたトタン屋根は吹き飛ばされてしまった。 80歳の高齢だ。 周りも声のかけようがない。 手助けを申し入れても、源一じいさんは、決して頭を縦に振らない。 3度ある事は、4度ない、とまたまたトタン板を拾い集めている。 もうトタン板は、屋根の役をなさない。 やめた方が良い、と言ってやりたいところだが、じいさんは意地なのかやり遂げる。 来年も台風は来るだろうに・・・ おばあちゃん、決して咎めるでないぞ。 きっと来年の夏休みには、孫が島へ来、おじいちゃんの肩を揉んでくれる事だろう。 それにしても80の年で屋根に上り、一人でトタンを引っ張り上げ組み立てていく。 牛飼い魂は、見上げたものである。 誰にも真似出来ない事だ。

f1190 注意点

日本の南端、この黒島ではその昔、夜這いは日常の出来事で、公然と行われていた。 勿論、夜這いが成立するには、お互いがある程度、好意を持ち、受け入れられていたのである。 昭二は二十歳。隣村の十八歳、明子に、ほのかな想いを寄せていた。 夕陽が真っ赤に沈みかけた頃、隣村との間にある森へ、牛の草刈リに出かけた。 その森へ明子もまた、薪ひろいに来ていた。二人は森の中で、出会わしたのである。 明子の素振りも決して昭二が嫌いと言う訳ではなく、好意を持っているかに見えた。 明子は流行歌を口ずさみ、さも楽しそうに嬉しそうに薪拾いをしていた。 声をかければよかったのだが、昭二は寡黙で気が小さく、そのまま別れてしまったのである。 夜は村の中心にある大きなガジュマルの下で青年達は、さんさんごご集まって酒を酌み交わす。 昭二も先輩達といっしょに飲んでいたが、話題が夜這いの話で盛り上がっていた。 「おい! 中里村の明子はよ今一番いい、熟しているぞ、誰が夜這いをかけるんだ」 他の先輩が「中里村の秀雄がよあの子に気がある、近々間違いなく夜這いをかけるはずだぞ」 「お前ら甲斐性なしだな、この村から先に夜這いかける奴いないのか」 「久雄! お前度胸ないのか?」 久雄はやってもいいかな。と打診をし乗り気になっている。 親父の行動を注意しろ、力仕事で疲れ果てぐっすり寝込んだ夜をねらへ、この空になった二合ビンに水を入れ、戸走りをたっぷり濡らし音が出ないようにしろ、など久雄に夜這いの注意点をこと細かに伝授しているのである。 昭二は、決して明子はこいつらの夜這いを受け入れないだろうと期待しながらも、もしかして、と不安が次々に膨れ上がっていく。 先輩は、俺が夜這いをかけた時、布団からそっと足元に忍び寄ったが、相手は男だった。 その娘は弟と一緒に寝ていたのだ、その日は失敗に終わった。 そこで、運動会の夜、弟がぐっすり寝ている時に夜這いをかけたら、大成功。 あの娘はよかった、おいしかったぞ、と色々と自慢話をし煽り立てている。 夜這いの話、明子の話題で、その晩は持ちっ切りだった。 昭二は、寝ようとしたが、夜這いの話が頭にこびりつき、久雄の夜這いに屈する明子の顔で、悶々と寝られなかった。 夜中の三時、特に意識した訳ではないが、いつの間にか明子の家の近くをうろついていた。 周りはどの家も真っ暗闇で寝静まっている。 先輩の、早くしないと他の奴らに夜這いをされるぞ。その言葉が頭の中で、エコーとなって止まらない。

 1179 地獄耳

 パーティーから数日後、港で会ったので声をかけた。
先日、群馬からお父さんが来たんだって、と聞くと。
え! ええ!!、誰から!、誰から聞いたの、私お父さんが島に来た事誰にも言ってないのに、とびっくりしていた。
おじさん、地獄耳だから何でも知ってるよ、というと観念したのか、皆さん島の良い人に出会えた事、一生忘れないよと、笑顔で答えていた。
真美ちゃんのお父さん、本当に心配で仕事を休んで、高い飛行機代出して、様子を見に来たんだぞ。
もっとお父さんに、甘えた方がいいよ、というと、ニ週間後に島を離れるけど島の事、一生忘れないから、と明るい笑顔だった。
群馬へ帰ったら、お見合いをし、いい人見付けな、というとコックリうなずき、私必ずいい人見付けて、もう一度島へ来るからと自信に溢れた少女の笑顔が返ってきた。
この島は、見事なハートの形をしている。何故かこの島に滞在すると、心が落ち着き癒されるという。
真っ赤に燃えた真美のハート、きっといい人が見つかるであろう。
南の島の夜、雲一つない晴天、まれに見る星空の美しい夜の出来事。
民宿の庭で、観光客14、5人と輪になって酒を飲んでいると、年の頃30歳を越したばかりと思われる女性の二人連れがいた。
綺麗な星空を海岸で見て来る、と二人は出かけた。
しばらくして、綺麗な星空が見れてよかったと帰ってきた。
流れ星見えた、と聞くと、すごい大きな流れ星が何個も見えた、との事だ。
年頃の女性なので、さぞかし流れ星にロマンチックな想いを寄せたのでは、と尋ねると「勿論、お願い事したわよ」
何をお願いしたのと聞くと、勿論お金よ、と即座に言ってのけ、隣の子もうなずいていた。
「おじさん知らないの、流れ星に、金、金を5回連発出来ると、金持ちになれるのよ」・・・・
今の若者の考え方には、夢もロマンもへったくれもないか。
しばらく飲んでいたが、また今度は、別の方向で星を見に行くという。
姉御役と思われる一人が、どうも自信がない。
こんどこそ間違いなく、金、金を5連発してやると、立ち上がって行った。
こら! この若さで、まだまだ人生を開き直る事ないだろ、といったがどうも耳に入らないようだ。
スレた様子からみて、この二人の女性は、再度星を見に行くと言って、周りの男の子が一緒に追いて来るのではないかと、誘いをかけしているように見えたが、男は誰一人として追いて行かなかった。
男どもよ! 間違ってもこのような女性に捕まるな。
まかり間違って捕まると、なんで私が貧乏な人生を続けなければならないんだ、と言い続けられる。
結婚しない女性が増えているというが、原因の根本は結婚に対する金の比重が、以前とは格段に違うようだ。
このような世代に生まれなくて幸せだった・・


 1178 ファッションモデル?

 島に昼間は軽食、夜は飲み屋になる小さな店がある。
ヘルパーとして23歳の娘と27歳の真美ちゃんが、昼夜交代で働いている。
真美ちゃんは、ひかるの娘と同じ名前なので、何時も呼び捨てにしかわいがっている。
真美も、ひかるの事を父親の如く親しくしてくれている。
夕方7時頃、店に行くと島の牧場をやっている青年達が、5人ほど集まっていた。
隅っこの二人掛けのテーブルに座ると、青年達が手招きをするので同席すると、何とテーブルには寿司と焼き鳥、串焼きが所狭しと豪勢に並べられている。
この島にはない料理で、石垣島より取り寄せたばかりだという。
何か祝い事でもあるのかと聞くと、真美ちゃんの27歳の誕生祝だとの事。
しばらくして、真美を席に座らせると、電気が切られ真っ暗闇。
入り口から、若者がタンタータタン、タンタータタンと、出来立てのケーキだといって入ってきた。
ろうそくがともされ、バースデーの歌が流れ、真美ちゃんが蝋燭の火を消すとあかりが点けられ、拍手喝采。
そしてケーキカットの合図に、大きなスプーンが真美に渡された。
何と気がつかなかったが、目の前にあるのは、ケーキではなく、実は豆腐だったのである。
島に、ケーキがないので出来立ての豆腐が、ケーキに早変わり。
よく見ると、豆腐の横には、波形のポテトチップスが刺さって、デコレーションされている。
立派なケーキに見えるのである。
そして真美ちゃんは、ポテトチップスにスプーンで豆腐を乗せ、まず口へ運び、ありがとうと、みんなにお礼をし、そして次から次と、ポテトチップスに、豆腐を乗せ、みんなに配った。
初めてではあったが、びっくりするような珍、新味だ。
醤油は使わず、ポテトチップスの塩気と、その上に乗った豆腐をほおばる。
これ程の珍味があるのかと思われる、見事なケーキ。
島の若者達のアイディア、感性には驚かされた。
真美ちゃんがこの島へ流れ着いたのは、一年前であった。
スタイル、プロポーションは抜群で、目鼻だちもはっきりしており、ファッションモデルとしても通用する、均整のとれた容姿である。
しかし来た当時、どうみても暗いイメージで、いわくありげというか、幽霊が背中にハビリついているのではないか、今にも岩から飛び降り自殺をしそうな暗さを持っていた。
それが一年経った今は、これ程変身出来るかと思われるくらいの明るさが戻ってきた。
誕生パーティーでも、同年代の島の独身男性が言い寄って来ても「私はあんたとなんか絶対結婚しないから、あっちへ行け」と脳天からの高笑い、明るく、軽く、相手に不快感を与えずに、あしらう。
誰もがびっくりするような変身ぶりである。

 1177 天空橋

 まったく使われていないが、滑走路を思わせる訳の分からない、とてつもない長い桟橋がこの黒島には残っている。
周囲12キロ、海抜12メータ、平べったい島の規模からすると、昔の人のやる事は分からない。
昔の出来事、車や重機も無く、すべて人力。超大型台風となると、風は勿論半端でない波が打ち寄せるが、それにも耐え残っている。
島の古代人のエネルギーはエジプトのピラミットに負けないぞー
橋の先端で夜中、日本の南端、ハートの島、天の川を眺め彦星、織り姫に思いを走せ流れ星に願いをかける・・
最高のデートスポットではないだろうか・・
ちなみに作曲家が見ていれば、この場所は明け方、干潮時、波の音も無く虫の音も無い。
勿論車やエアコン風の音等無く、完璧な無音状態が体験出来る場所でもある。
ギターを抱え訪れる大者アーティストがいるが島の人は知らないようだ。
源一じいさんは、夫婦で20頭程の牛を飼っている。
夏休みに高校生の孫を、島へ呼び寄せる事を一番の楽しみに、セリで牛が売れると少しずつ貯金をし、指折り数え待っているのだ。
昨年、じいさんは思いきって牛舎をトタン屋根で組み上げた。
完成した矢先、9月に30年ぶりと言われる超大型台風が島を直撃。
じいさんが組み上げたトタン屋根は、みごと飛んでしまった。
がっかりしたが気をとり直し、飛んでしまったトタン板をリヤカーを引っ張り、拾い集め、木のハンマーで叩き直し、再度組み上げたのである。
道なき原野をリヤカーで回り、トタンを集め作り上げた牛舎に、みんなが拍手喝采だ。
ところが一年経った今年9月、また昨年に続き、超大型台風が島を直撃。
源一じいさんの作り上げたトタン屋根は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。
じいさんは諦めない。再度リヤカーを引っ張り、トタン板を集め、また木のハンマーで叩く。
80歳の年寄りが一人で屋根に上り、ロープでトタンを釣り上げ組上げていく。
その執念には周りもびっくりした。
ところが、ところがである。
やっと組み上げた突端、10月6日にまたまた超大型台風が島を襲ったのである。
当然、あっという間にまたトタン屋根は吹き飛ばされてしまった。
80歳の高齢だ。
周りも声のかけようがない。
手助けを申し入れても、源一じいさんは、決して頭を縦に振らない。
3度ある事は、4度ない、とまたまたトタン板を拾い集めている。
もうトタン板は、屋根の役をなさない。
やめた方が良い、と言ってやりたいところだが、じいさんは意地なのかやり遂げる。
来年も台風は来るだろうに・・・
おばあちゃん、決して咎めるでないぞ。
きっと来年の夏休みには、孫が島へ来、おじいちゃんの肩を揉んでくれる事だろう。
それにしても80の年で屋根に上り、一人でトタンを引っ張り上げ組み立てていく。
牛飼い魂は、見上げたものである。
誰にも真似出来ない事だ。

 1176 画像

 



天空橋

 1175 豊年際

 黒島には、かなり古くから伝わる、豊年際の、ハーリー競争がある。
ハーリー競争は、中国や沖縄本島、石垣島や周りでも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。
船を漕ぐ競争だけでなく、ウーニーと呼ばれる、走り手、その競争が、かなりメインの役割をする。
写真は、ウーニーの姿で、ふんどしの部分は、肝心なところをやっと覆いつくすばかりで、ケツの方は、ぐるぐる巻きに束ねる。
割れ目に食い込み、下半身がむき出しの状態だ。
勿論、上半身もごらんの通り軽装で、このウーニーに選ばれることは、走りが早く、非常に名誉な事である。
最大の人気者だ。
ウーニーは、強い脛の意味で、健脚という事。そこにも英語が相通じる方言が、見え隠れする。
ウーニーは、村長から杯をいただき、腰くらい迄の所に待っている船に、砂浜、浅瀬を走り、飛び乗る。
そして船をこぎ、沖合にある旗をとって、Uターンする。
帰りは船にスピードが付いている為、深さ胸元くらいの所で、ウーニーは飛び降り、両手で水をかきながら、浅瀬、砂浜、そして、村長の所へ来て、タッチする。早い方が勝ちだという訳だ。
そういう意味では、ただ陸上で走りが早いだけではない。
水中をうまく、走るテクニック、方法が重要である。
また舳先に、ピーゾーと呼ばれる、棒高跳びの竿に匹敵する、竹のさおを付いて、漕ぎ手と、トウージーと呼ばれる、かじ取りと連携する。
返しの場合、ウーニーが、船からとび降りる合図をかじ取りが出す。
舳先のピーゾーと、かじ取りが強引に船を方向転換しないと、ウーニーは、船の下敷になる。
そのタイミングが、危険極まりない状態だが、その為に、漕ぎ手に指示を出し、ピーゾーに指示を出す。
飛び降りる瞬間をウーニーへ指示するのが、トウージーと呼ばれる、かじ取りの重要な役目だ。
また、Uターンをする時、旗を船に取り込まなければ、失格である。
かなりスピードが出ている船で、旗を取れる状態で、Uターンさせる。
50センチでも離れれば、旗が取り込めない。
そこが、トウジーの1番重要な役目だ。
前回、トウージーとトウジ(妻)の話をしたが、その辺に繋がりがあるようだ。
このウーニーハーリーの方式は、他には無く、日本国内ではこの黒島にしかない。
中国のハーリーにもない、なんでこの島にしかないのだろうか?
この島は、かなり古くから他には影響されない、独自の文化があったのではないかと、推測する原点である。
昔から南の島に伝わる、このウーニー、トライアスロンの原点ではないだろうか。 


 1181 半ボケ

 皆さん、ハートアイランドご存知ですか。 沖縄本島から南へ450キロ。 周囲12キロという、ものの見事にハート型をした、小さな島がある。 黒島で、別名はハートアイランドと呼ばれている。 この島に年齢は80歳を越した、いまだに独身の一人の爺ジーが居る。 頭は完璧にツルツル、ツルッ禿...