まったく使われていないが、滑走路を思わせる訳の分からない、とてつもない長い桟橋がこの黒島には残っている。 周囲12キロ、海抜12メータ、平べったい島の規模からすると、昔の人のやる事は分からない。 昔の出来事、車や重機も無く、すべて人力。超大型台風となると、風は勿論半端でない波が打ち寄せるが、それにも耐え残っている。 島の古代人のエネルギーはエジプトのピラミットに負けないぞー 橋の先端で夜中、日本の南端、ハートの島、天の川を眺め彦星、織り姫に思いを走せ流れ星に願いをかける・・ 最高のデートスポットではないだろうか・・ ちなみに作曲家が見ていれば、この場所は明け方、干潮時、波の音も無く虫の音も無い。 勿論車やエアコン風の音等無く、完璧な無音状態が体験出来る場所でもある。 ギターを抱え訪れる大者アーティストがいるが島の人は知らないようだ。 源一じいさんは、夫婦で20頭程の牛を飼っている。 夏休みに高校生の孫を、島へ呼び寄せる事を一番の楽しみに、セリで牛が売れると少しずつ貯金をし、指折り数え待っているのだ。 昨年、じいさんは思いきって牛舎をトタン屋根で組み上げた。 完成した矢先、9月に30年ぶりと言われる超大型台風が島を直撃。 じいさんが組み上げたトタン屋根は、みごと飛んでしまった。 がっかりしたが気をとり直し、飛んでしまったトタン板をリヤカーを引っ張り、拾い集め、木のハンマーで叩き直し、再度組み上げたのである。 道なき原野をリヤカーで回り、トタンを集め作り上げた牛舎に、みんなが拍手喝采だ。 ところが一年経った今年9月、また昨年に続き、超大型台風が島を直撃。 源一じいさんの作り上げたトタン屋根は、あっけなく吹き飛ばされてしまった。 じいさんは諦めない。再度リヤカーを引っ張り、トタン板を集め、また木のハンマーで叩く。 80歳の年寄りが一人で屋根に上り、ロープでトタンを釣り上げ組上げていく。 その執念には周りもびっくりした。 ところが、ところがである。 やっと組み上げた突端、10月6日にまたまた超大型台風が島を襲ったのである。 当然、あっという間にまたトタン屋根は吹き飛ばされてしまった。 80歳の高齢だ。 周りも声のかけようがない。 手助けを申し入れても、源一じいさんは、決して頭を縦に振らない。 3度ある事は、4度ない、とまたまたトタン板を拾い集めている。 もうトタン板は、屋根の役をなさない。 やめた方が良い、と言ってやりたいところだが、じいさんは意地なのかやり遂げる。 来年も台風は来るだろうに・・・ おばあちゃん、決して咎めるでないぞ。 きっと来年の夏休みには、孫が島へ来、おじいちゃんの肩を揉んでくれる事だろう。 それにしても80の年で屋根に上り、一人でトタンを引っ張り上げ組み立てていく。 牛飼い魂は、見上げたものである。 誰にも真似出来ない事だ。
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