スポーツクラブで泳ぐのを日課にしているが、平日のクラブは老人天国だ。
サウナに入った後、平面ガラス張りの広い部屋に10人が腰掛けられる総鏡張りの前で、ドライヤーが使えるようになっている。
何気なく見て、腰が抜ける程、ギョッとした。
ツルツル禿げのじいさんが3人、その前でツルツル頭にドライヤーを当てているではないか。
鏡に映る顔と、ツルツル後頭。
雁首、しゃれこうべが六つ並んで、しかも裸体で、こっちを見ている光景に見えたのだ。
一瞬、あの世へ来てしまった、と感じ、心臓が止まる思いだった。
異様なる光景とは、その事だろう。
何も毛の無いツルツル頭に、ドライヤーを使う必要はないだろう。
せっかくエコに到達できたのに、電気代の無駄だ!
自宅では、ドライヤーを使わないだろうに、タダだからと言って何の意味がある。
ヤケドするだけだぞ。
老人天国、平日、喫茶店に行きタバコをふかしていると、すりガラスで仕切られた禁煙席に、ばあさん軍団が、けたたましく入ってきた。
耳が遠いのか、親分肌のババアが、店内に響きわたる声で、しゃべくっている。
あの二丁目の山本さん、梅毒(ばいどく)じゃない?
そうね、いつもバイク(ばいく)に乗っている人でしょう。
バイクじゃなくって梅毒(ばいどく)の話なの。
梅毒(ばいどく)は、頭が禿げるんだって。
子分役、それってエイズのことじゃない。
そうそう、そのエイズよ。
若い頃、東南アジアへ単身赴任していたそうよ。
今は奥さんとも、うまくいっていないみたいよ。
と山本氏の話題で大変な盛り上がりようだ。
その内、私の隣にいた、かわいい毛糸の帽子をかぶった男が、ソワソワ動き出した。
親分役の前へつかつかと行き、バサーと帽子をとり、一人一人なめ回すように睨みつけたのだ。
そう、話題の山本氏だったのだ。
殺傷事件が起きかねない、異様なる雰囲気である。
山本氏の後ろ姿は、肩まで怒り狂っているようで、勘定を払って出て行く。
その後ろ姿を見送ると、親分肌のばあさんは、前にもまして、大きな声で言い放った。
何もエイズだと、決め付けた訳でもないのに、失礼だわ!
睨みつけられる覚えは無いはずよ、と。
おい、ばあさん、あんたに反省の気持ちはないのか。
山本氏が切れたら修羅場だぞ。
ボケも入ってきているのであろう。
老人大国の日本、そろそろ、ボケ防止法の制定をしないと、国は成り行かなくなる。
30年間もトランスジェンダーを通し、女に成りきった男がいた。
酒の席で色気も全く感じられない、お前は女に成りきれない男だ、と言われる。
ボケも入ってきており、感情の上下が激しくなっている男は、相手を刺し殺した。
さて問題はこれからだ。
心身共に女になりきって、殺人まで起こしたこの人物を、男部屋に収監したら、罪になるのか。
女部屋に収監したら、罪になるのか。
皆さんで酒の肴に、議論してほしい。
いずれ貴方は、裁判員になる可能性がある。
今の内から、勉強しておこう。
