絶滅危惧種であり、天然記念物イリオモテヤマネコは西表島にしかいないが、実は石垣島にもいたという説もあるが、この黒島にも70年ほど前まで生息していた。
黒島でこの山猫を見た人は最近他界したので今では光男ただ一人しかいなくなった。
この山猫は普通の野良猫と比べ、顔がまん丸くてしっぽが太くて短い、足も短い、いわゆる短足ずんぐり型だ。
顔が丸いのは顎の筋肉がかなり付いているのだろう。足が短いのもかなり筋肉が付いているせいで短く感じられるのだろう。
運動能力は通常の猫の域をはるかに越えている。
まずは完璧な夜行性、真っ暗な夜、眼光がものの見事な黄金のビームを発する。50メートル先でも確認できる。
消えたかと思うと、こちらの動きや声で別の所から黄金のビームを発する。
また獲物を捕る時の動作が見事だ。
島のニワトリはこの猫のためか、桑の木の枝で寝る。観察するとある程度風があり、木の葉の音がワサワサし、多少しなっているタイミングを狙う。
助走から一気に桑の木を四本の足で抱くようにスルスルっと駆け登り、飛びつき、まずは鳥の喉輪を瞬時に噛み砕く。
鳥は声を出す間もない。
風で枝はしなったりしているので、他の鳥たちは気が付かない。
くわえたまま落ちるが、猫は四本の足で見事着地。鳥は地面へ叩きつけられる。
もし瞬時に喉輪を噛み砕き損ねた場合、鳥の足が猫の足を掴めば、四本足での着地は出来ず、地面へ叩き付けられ一巻の終わりだろう。
風や葉音、しなり具合の読み、瞬時に喉輪を噛み砕くなど、見事としか言いようがない。
また台風時には鳥たちは木の上では寝られない。
獲物が簡単に手に入り、この猫がこの地域に生き延びた原因だろう。
住処も重要だが、この地区にはアダンやガジュマルの木がある。
この木は横に延び、途中より気根を地面へ次々と下ろし這っていく。
木も台風から己を守るため上へ伸びず横へ這うように伸びる。
途中から気根と呼ばれる根を垂らし横に寝るように、這って大きくなる。
地面と横たわる木の高さは50センチ前後、柱の如く気根が沢山あるため絶好の住処。
勿論ハブやネズミ、ヤドカリやトカゲなど南国の動物の楽園で他の動物が入り込めないため、昼間も安心して寝られるのである。
光男は古代から生き延びるこの猫の狩りから、一番大事な事を教えられた。
時代の風向きや自分の置かれている状況等を慎重に読み、ネックの喉輪を瞬時に噛み砕く手法だ。
人生では千差万別だろうが、必ず問題があるはずだ。
慎重に読み、どのタイミングで瞬時に喉輪を噛み砕くかだ。
自分は今動けるのか、親の状況やあるかないか。
兄弟の問題、家族に病人がいるかなどを読み、飛びつくタイミングはずれていないかなどが重要だ。
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