2026年7月25日土曜日

164 ヤギの乳

 

離島で子供が生まれても、昔は栄養が行き届かず母親の乳が出ない場合があった。

勿論、粉ミルクは無く冷蔵庫もない時代。

そこで、ヤギの乳を頂く、そうやって島の子供たちは育ったのである。

光男も母に3軒の家からヤギの乳を頂いたと言われた。

だから3軒の家のヤギ様には感謝しなさい、と言われた。

よって恩返しのため、物心ついた時からヤギを飼わされ、一生懸命ヤギの草を刈ったもんだ。

そしてその3軒の家に子供が誕生した時には、私の飼っていたヤギの乳を恩返しするということだ。

光男がこうやって生きていられるのも、ヤギ様のおかげで神様である。

領土で中国と揉めている魚釣島、野生のヤギが生息しているが、この地区の人が昔住んでいた証だ。

皆さん無人島で住む場合、女房と必ずヤギ様もオス、メス同伴が条件。不滅の鼓動だ。

ヤギ様恩返し草刈り生活の中で、こんな不思議なこともあった。

ある小雨の日、牧場をやっている青年が我が家へ来た時のんびり喋っている。

牛の草は刈ったのかと聞くと、牛は濡れた草は食べないという。

それでは雨が降った日はどうするんだと聞くと、干し草を食べさせるとのことだ。

初めて聞いたが牛は刈った草、どんな新鮮な草でも雨に濡れていると食べないという。

枯らした草、干し草なら食べるとのことだ。

勿論、生えている草なら雨に濡れていても食べるが、刈って雨に濡れた草は刈りたて、新鮮な草でも食べないという。

本当なのだろうか?

この島の牛だけが贅沢な生活をしているのか?

なんで新鮮な草でも、雨に濡れたら食べないのだろうか。

生えた、雨に濡れた草は食べるのに。不思議である。

牛飼いさ~ん、教えて。

島のじいさんが、おしゃべりにきた。

泡盛とサバの缶詰で飲んでいると、ハエがうるさい。

このハエ何とかならないのかなぁというと、8時半まで待てよという。

訳を聞くと、ハエは8時半になると就寝の時間だという。

言われてみて初めて気がついたが本当に8時半になると、ありゃりゃ、ハエがピタリといなくなった。

島のハエは夜8時半就寝だそうだ。

島の人たちは行動時間が夜型だ。

9時10時から平気で飲む。ハエの時間を考え行動をずらしているのだろうか。

島の生き物たちのルールに合わせて暮らすのは、案外知恵が必要なものだ。


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