この島では、気温が10度を切ると、近海の魚が凍死して浮き上がってくる。
一番寒さに弱い魚は、フクラビと呼ばれるカワハギである。
立派な皮を纏い、見た目は寒さに一番強そうな魚が一番弱い。
カワハギ! お前はイミテーションのミンクのコートを着ているのか。
ヤマト(本土)嫁が民宿をやると大繁盛する。
料理や観光客の心を理解できるためだろう、と古老が呟いた。
20年も前だが、20歳前後の女が島へ来て、島男とどうしても結婚がしたい、男を紹介して欲しいと頼み回ったそうだ。
十人並みの容姿で問題ないが、何かいわくがあるのか?
頭がおかしいのか、と誰も相手にしなかったそうだ。
最近、ヤマト嫁が活き活きと活躍する姿を見て、あの娘は20年先の今を見通していたのではないか、決して頭がおかしかったのではない。
あの娘が民宿をやっていれば、今頃は島一番の民宿になっていただろう。
島として大きな損失だった、としみじみ呟いた。
「光男! 今からでも遅くない。島には40代、50代のチョンガーがいる、その娘を探して来い」と。
お~い!心当たりの女性、いるか?
足腰は弱っているが、最後の力を搾り、島じいが一肌でも二肌でも脱ぐ、と言っているぞ。
今一度、島じいの所へ行ってくれ。
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