2026年5月5日火曜日

1018 貧食時代

 現在の飽食時代、パンの耳で過ごす事等、考えられないかも知れませんが、日記に昭和40年当時の状況を見る事が出来ます。

「3月29日、月曜日、今日は朝から会社は休み、給料日は目の前だけど、どうしても金が不足。

しかたないので、電子工学、図解パルス工学、電気論の3冊、2000円相当を古本屋に売りに行った。

売りたくない気持ちは山々、そうかと言って、飯を食べずに過ごす訳にもいかない。

ある一軒の古本屋に入り、買ってくれと頼むと、今はその本ありますから、との事で、この本屋を出る。

この場に成って、自分ではよく分からない程の本に対する未練が出てきて、そのまま帰る事にした。

やっぱりどんな事があっても、参考書だけは、今後売るような事はしないようにしよう。

仕方ないので、今日は朝から食パン1個で、1日中過ごす。腹の虫がグーグー鳴っている。

ペンさえも、いつもと違い、ふらふら千鳥足、残る2日間の我慢だ。明日の仕事は元気でいこう。12時記す」

ひかるにとって、パンの耳は、本当の命の源で、どれ程有難いと思った事か。

1日をパン1個で過ごした日が、どれほどあったのだろうか。

絶えるかもしれない、命の恐怖に、何かを残したい、毎日の行動を記録し、自分を励まし、耐えたのです。

そして、生命力の強さ、偉大さをつくづく痛感させられました。

上京時、父はやっとの思いで一万7千円のお金を用意してくれました。

当時は、高校卒業の初任給が一万7千円くらいでしたので、1カ月以内に底をつくのは目に見えており、急いで働かなければ、夜学は続行出来ません。

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