2026年6月4日木曜日

109 己の主役ドラマ

 そして、少年の求めた魔法の箱は、当時の状況下、あまりにも大きな夢でした。

好奇心旺盛な光男少年は、諦めることなく、心に秘めて上京するにも三千円の家賃さえ遅れがち。

オーバーが買えない初めての冬「沖縄だってね~ 死んだ亭主のオーバーだから着な、家賃は出世払いでいいよ!」と励まし、慰めてくれた大家のおばちゃん。

オーバーを着た時、湯気が出る程ぽかぽか暖かかったのは、一生忘れられません。

トラックの助手時代、寮費は心配するな、と声をかけてくれた社長。

卒業時、「決して悪いようにはしない、我が社に留まれ!」と言われましたが、どうしてもテレビの世界を求めたいと丁重に断りました。

苦しい中で初めて鼓動に触れ、自分にとっては夢を追い続けるしかない!

たとえ苦しみが続こうとも、進むしかない、と言い聞かせ、自らの手で全国へ映画を放送した時、思わず流れ出た歓喜の涙は、生涯忘れられません。

そして、人は誰でも、夢を見ます。

夢があるから、喜びがあるんです。

初詣の人出に、大勢の人達が幸せを願い、夢を追い求めている姿が見られますが、神に祈るだけで、夢は実現しません。

幸せにも、なれません。

では、幸せとは、何だろうか。

やはり40年を通した中から、夢を、己のドラマ、ロマンとして展開した人生を体験することが、幸せの一番大事な要素ではないだろうか。

小さな夢でも、それを追い求め、努力するからこそ、汗や涙に価値がある。

己のドラマとして展開することが幸せの出発点で、体験をした結果として、幸せが感じられるのです。

まぐれや奇跡を当てにしているような人生では、あまりにも心細い話でしょう。


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