天空橋
黒島には、かなり古くから伝わる、豊年祭のハーリー競漕がある。
ハーリー競漕は、中国や沖縄本島、石垣島や周りの島々でも行われているが、この黒島の場合、かなり違った行事である。
船を漕ぐ競漕だけでなく、ウーニーと呼ばれる走り手、その走りが重要な役割を果たす。
写真はウーニーの姿で、褌(ふんどし)をきつく締め上げ、臀部を露出させた勇壮な姿。
もちろん上半身もご覧の通り軽装で、このウーニーに選ばれることは、走りが速く、非常に名誉なことで、最高の人気者だ。
ウーニーは「強い脛」の意味で、健脚ということ。
ウーニーは、村長から杯を頂き、腰くらいまでの所に待っている船に、砂浜、浅瀬を走り飛び乗る。
そして船を漕ぎ、沖合にある旗をとってUターンする。
帰りは船にスピードが付いているため、深さ胸元くらいの所でウーニーは飛び降りる。
両手で水をかきながら、浅瀬、砂浜、そして村長の所へ来てタッチする。
速い方が勝ちだというわけだ。
そういう意味では、ただ陸上で走りが速いだけではない。
水中をうまく走るテクニック、方法が重要である。
また舳先に、ピーゾーと呼ばれる、棒高跳びの竿に匹敵する、竹の竿を突いて、漕ぎ手とトゥージィと呼ばれる、舵取りと連携する。
船の到着時ウーニーが、船から飛び降りる合図を舵取りが出す。
舳先のピーゾーは竹竿を杖にし、舵取りと強引に船を方向転換しないと、ウーニーは、船の下敷きになる。
そのタイミングが、危険極まりない状態だが、そのために漕ぎ手に指示を出し、ピーゾーに指示を出す。
飛び降りる瞬間をウーニーへ指示するのが、トゥージィと呼ばれる舵取りの重要な役目だ。
また、Uターンをする時、旗を船に取り込まなければ失格である。
かなりスピードが出ている船で、旗を取れる状態で、Uターンさせる。
50センチでも離れれば、旗が取り込めない。そこがトゥージィの一番重要な役目だ。
前回、トゥージィとトウジ(妻)の話をしたが、船を操る舵取りと、家庭を切り盛りする妻を重ね合わせている表現、その辺に繋がりがあるようだ。
このウーニーハーリーの方式は、中国や日本国内の他地域には見られない、黒島独自の形式で、なんでこの島にしかないのだろうか。
この島は、かなり古くから他には影響されない、独自の文化があったのではないかと推測する原点である。
昔から南の島に伝わる、このウーニー、トライアスロンの原点ではないだろうか。
この島では、気温が10度を切ると、近海の魚が凍死して浮き上がってくる。
一番寒さに弱い魚は、フクラビと呼ばれるカワハギである。
立派な皮を纏い、見た目は寒さに一番強そうな魚が一番弱い。
カワハギ! お前はイミテーションのミンクのコートを着ているのか。
ヤマト(本土)嫁が民宿をやると大繁盛する。
料理や観光客の心を理解できるためだろう、と古老が呟いた。
20年も前だが、20歳前後の女が島へ来て、島男とどうしても結婚がしたい、男を紹介して欲しいと頼み回ったそうだ。
十人並みの容姿で問題ないが、何かいわくがあるのか?
頭がおかしいのか、と誰も相手にしなかったそうだ。
最近、ヤマト嫁が活き活きと活躍する姿を見て、あの娘は20年先の今を見通していたのではないか、決して頭がおかしかったのではない。
あの娘が民宿をやっていれば、今頃は島一番の民宿になっていただろう。
島として大きな損失だった、としみじみ呟いた。
「光男! 今からでも遅くない。島には40代、50代のチョンガーがいる、その娘を探して来い」と。
お~い!心当たりの女性、いるか?
足腰は弱っているが、最後の力を搾り、島じいが一肌でも二肌でも脱ぐ、と言っているぞ。
今一度、島じいの所へ行ってくれ。
島のじいさんと飲んでいたら、今の女のオッパイは、なっていない、あの格好は何だ、と怒っている。
猥談でも始まるのかと思うと、真面目な話のようだ。
昔の女は、オッパイを長く長く伸ばす訓練をしていたんだぞ。
子供を背負い、オッパイを欲しがったら肩へちょこんと乗っけ、子供にオッパイを飲ます。
その間、手仕事が出来る。いちいち抱いていたら、乳を飲ませる時間がもったいない。
乳の垂れ具合で、働き者のいい嫁かどうかが決まったと言う。
おかしな話もあるもんだと、聞いていると、隣に60代のおばちゃんがいて、この話は本当かもしれない。
亡くなった母は、本当にオッパイが垂れ下がって、肩に乗っけられるくらいの長さだったという。
そう言われてみると、この話は本当なのかなあ?
アフリカの原住民の女性のオッパイがかなり垂れ下がっているが、もしかしてこの話のとおり伸ばしたのかな。
ある日、90歳を過ぎたおばあちゃんに、どうしたらオッパイを長く伸ばせるのか、と聞いてみた。
そのばあちゃんは、にっこり笑って、「あんた! 私に惚れたね! 久しく絶えていたが今夜はいいよ!」とにじり寄って来た。
おい、ばあちゃん勘違いするなよ!
90歳を過ぎ、三途の川へ片足つっこんだ、ばあちゃんに乗ったら、オレはギネスブックに載るよ。
最中に、いく~、いく~とお迎えが来たら豚箱行きだ。
くわばら、くわばら。
とりあえず、快楽どころか葬式の事が頭をかすめ、逃げ帰ってきた。
日本の南端、この黒島ではその昔、夜這いは日常の出来事で、公然と行われていた。 もちろん夜這いが成立するには、お互いがある程度、好意を持ち、受け入れられていたのである。 昭二は二十歳。隣村に住む十八歳の明子に、ほのかな想いを寄せていた。 夕陽が真っ赤に沈みかけた頃、隣村との間にあ...